旅館ホテル)” の例文
私は昨夜自動車に出会った場所は、停車場ステーションから海浜旅館ホテルへ出る道路みちとは違っている。しかも汽車が到着ついた時から一時間も経過っていた。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
ちゆふ老人の帳場番頭の居ること、制服のギヤルソンが二三人うやうやしさうに立つて居ること、これ等はどの国の旅館ホテルも少しの違ひがない。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
美食と酒にんで、寝台にゴロとしていると、例の老軍卒が、旅館ホテル小僕ボーイのように、おきまりの食器のとり片づけに入ってきた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
校長は市街まちをぶらつきながら、途々みち/\将軍の舅の自慢話を持ち出した。すると、道の曲り角で大きな旅館ホテルの前に出た。校長は慌てて友達を引きとめた。
衛生をおもんずるため、出来る限りかかる不潔を避けようためには県知事様でもお泊りになるべきその土地最上等の旅館ホテルあがっておおいに茶代を奮発せねばならぬ。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
上海シャンハイ、英租界の大道路、南京路ナンキンルー中央なかほどのイングランド旅館ホテルの一室で、ラシイヌ探偵と彼の友の「描かざる画家」のダンチョンと葉巻シガーを吹かしながら話している。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ここは世界に著名なだたるアルプス山麓の大遊楽境、宏壮優雅な旅館ホテル旗亭レストオランいらかをならべ、流行品店グラン・モオド高等衣裳店スチュディオ、昼夜銀行に電気射撃、賭博館や劇場やと、至れり尽せりの近代設備が櫛比しっぴして
駅逓馬車が午前中に無事にドーヴァーへ著くと、ロイアル・ジョージ旅館ホテルの給仕がしらは、いつもきまってするように、馬車のドアけた。彼はそれを幾分儀式張ってぎょう々しくやったのであった。
廣場に、旅館ホテルに、市場いちばに、住居すまひ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
変屈者のA老人は唯一人飄然へいぜんと海岸へ来て、旅館ホテルに滞在中、固疾こしつの心臓病が起って危篤に陥った。報知しらせによって倫敦ロンドンから娘が看護に来た。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
旅館ホテルの食堂で夜食を済ませたあとで自分達は明るい街の人通りを眺めながら遅く迄ある珈琲店キヤツフエに涼んで居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
まずこの急行列車の序開があったあとには旅館ホテルの淋しさ。人が一ぱいいながら如何いかにもがらんとした広い旅館。見も知らぬ気味悪い部屋、怪気あやしげな寝床の淋しさが続いて来る。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その問は、彼がドーヴァーのロイアル・ジョージ旅館ホテルで初めて知り合って、その後その時よりは親しくなっていた、例の腕っ節の強い、荒っぽい、赭い顔の婦人、プロス嬢の発したものであった。
六、カランカランと鳴る鐘は旅館ホテル下宿パンションの昼餐の合図。
友達は旅館ホテルの高い窓を振り仰いで感心した。
食事が済むと、彼は幾許なにがしかの勘定を払って戸外そとへ出た。そして安い旅館ホテルをさがす為に、場末の町へボツ/\と歩をむけた。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
博物館前の料理屋レスタウランでゆつくり午餐ひるめしを済ませた上疲労して居る晶子を馬車に載せて市の中央にある公園の池のほとりを一周し、旅館ホテルへ一旦引返して晶子を休養させ、更に僕一人で午後の見物に出掛けた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「ハイ、私はパーク旅館ホテルの給仕ですが、コックス夫人と林様がこちらで食事をなさるから、貴方様も直ぐいらっしゃるようにと申す事でございます」
P丘の殺人事件 (新字新仮名) / 松本泰(著)