トップ
>
放埒
>
はうらつ
ふりがな文庫
“
放埒
(
はうらつ
)” の例文
そして、これらの憂欝を流し込むところは彼には結局女色より他になく、彼の
放埒
(
はうらつ
)
な日々の行為はやはり続けられてゐるのである。
日本三文オペラ
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
それは門太郎が身持
放埒
(
はうらつ
)
なので、お縫さんの母親が不承知だつたと世間では申して居りますが、兎も角も、あの門太郎さんが家出を
銭形平次捕物控:178 水垢離
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
昨日に限つて、原町の家に
宿
(
とま
)
らずにゐた自分が悔いられた。母にお金を貰つて、好い気になつて、
呑気
(
のんき
)
に
放埒
(
はうらつ
)
にすごした昨夜の自分が悔いられた。
イボタの虫
(新字旧仮名)
/
中戸川吉二
(著)
かく繁りに茂つた枝と葉とを持つた雑多な草木は、庭全体として言へば、丁度、狂人の鉛色な額に垂れかかつた
放埒
(
はうらつ
)
な髪の毛を見るやうに陰欝であつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
また先代の
放埒
(
はうらつ
)
のために廃寺同様になつてゐる寺にさういふことがあらうとは思はないので、好い加減に聞いてゐたが、その話が
度々
(
たび/\
)
耳に入るので、ある時
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
即於
二
南光坊
一
調美之体、いとにが/\しくぞみえにける。貧僧心ぼそげにたくはへをきし味噌の中へ、魚鳥の
腸
(
はらわた
)
を
入
(
いれ
)
けがし給ふ。其外
放埒
(
はうらつ
)
の有様、ものにこえてをこがまし。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
放埒
(
はうらつ
)
であつた前日の非を
贖
(
あがな
)
へとばかり極端に自己を
呵責
(
かしやく
)
して、身に出来るだけの禁欲を続けて来たことは誤りであつた。肉体に加へた罰から精神までも哀れに萎縮してしまつた。
註釈与謝野寛全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
物疑
(
ものうたが
)
ひといふては
露
(
つゆ
)
ほどもお
持
(
も
)
ちなさらぬ
心
(
こゝろ
)
のうつくしい
人
(
ひと
)
を、
能
(
よ
)
うも
能
(
よ
)
うも
舌三寸
(
したさんずん
)
に
欺
(
だま
)
しつけて
心
(
こゝろ
)
のまゝの
不義
(
ふぎ
)
放埒
(
はうらつ
)
、これがまあ
人
(
ひと
)
の
女房
(
にようばう
)
の
所業
(
しわざ
)
であらうか、
何
(
なん
)
といふ
惡者
(
わるもの
)
の、
人
(
ひと
)
でなしの
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
かくばかり我が
放埒
(
はうらつ
)
のやるせなき心きかんと言ふは
誰
(
た
)
が子ぞ
短歌
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
放埒
(
はうらつ
)
のかなしみは
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
柳橋で殺された藝妓の
奴
(
やつこ
)
は、私の爲には親身の妹さ。私は
放埒
(
はうらつ
)
な上にやくざな亭主を持つて、夜盜の仲間にまで身を落したから、身内の迷惑を
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
昨夜の
放埒
(
はうらつ
)
な記憶に触れずにすむためには自分の方から、何か先に口を切らねばいけないと思つて、
暫
(
しばら
)
くの間云ふ
可
(
べ
)
き言葉を頭の中で整理してゐた。
イボタの虫
(新字旧仮名)
/
中戸川吉二
(著)
放埒
(
はうらつ
)
のかなしみは
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「御總領の彌三郎とかを、身持
放埒
(
はうらつ
)
で勘當なすつたといふことですが、あれが、彌三郎さんぢやありませんか」
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
福松は
放埒
(
はうらつ
)
だから、うつかり大金の隱し場所を教へるわけに行かないが、俺も取る歳だ。此の頃の樣に身體が弱つちや、何時どんな事があるかもわからない。
銭形平次捕物控:153 荒神箒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
恐らくそのやかましい門限も、
放埒
(
はうらつ
)
な若殿金之進の夜遊びを制裁するための定めだつたのかも知れません。
銭形平次捕物控:186 御宰籠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
これは一と
癖
(
くせ
)
も二た癖もある人間、若い時は隨分
放埒
(
はうらつ
)
な暮しもしたやうですが、今ではすつかり堅くなつて、兄の佐兵衞を助けて、家業大事に
勵
(
はげ
)
んで居ります。
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
六兵衞は身持
放埒
(
はうらつ
)
で、若い時分は近江屋へ出入りも出來なかつた爲に、せめて伜だけは眞人間にしたいといふので、名乘りをしない約束で
丁稚
(
でつち
)
に頼みこんだんだ。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それはよく知つて居りました。あんまり
放埒
(
はうらつ
)
がひどいから、盆を越せば實家へ歸つて貰ふ筈で」
銭形平次捕物控:201 凉み船
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
茶汲み女を片つぱしから口説き落して、際限も無い
放埒
(
はうらつ
)
だから、女房のお留は
燒餅
(
やきもち
)
で氣が變になつたのだよ。最初、お北の髮を切つたのは、間違ひもなく主人の岩吉だ。
銭形平次捕物控:254 茶汲み四人娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
夫兵庫の
放埒
(
はうらつ
)
を止める力もなく、蔭では泣いて居ると言つた型の、消極的な人柄ですが、こんなのが思ひの外
嫉妬
(
しつと
)
が強いのではあるまいか——と平次は考へて居りました。
銭形平次捕物控:040 兵庫の眼玉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
百足屋市之助、——お前には兄、お内儀さんには
良夫
(
をつと
)
だが、近頃になつて
放埒
(
はうらつ
)
が益々募つた。
銭形平次捕物控:170 百足屋殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一色友衞は藤左衞門の昔の
朋輩
(
ほうばい
)
の子ですが、
放埒
(
はうらつ
)
で、弱氣で、笛の腕前は確かでも、娘をやる氣にならず、鳩谷小八郎は、武家の出で腕もよく、男振りもなか/\立派ですが
銭形平次捕物控:090 禁制の賦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
放埒
(
はうらつ
)
でわがままで、その上亂暴なことがあつたために、二年越し
木更津
(
きさらづ
)
の親類に預けてありましたが、近ごろ江戸につれ歸り町内の人達にも隱し、そつと家の中に圍ひを作らせて
銭形平次捕物控:247 女御用聞き
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
放埒
(
はうらつ
)
に身を持崩した末五十過ぎてから兄の家に轉げ込み、障子も張れば便所の
掃除
(
さうぢ
)
もすると言つた、恐ろしく氣の輕い男で、鼻唄交りにその日/\を暮してゐる札付の
放浪者
(
ボヘミアン
)
でした。
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
番頭の利八郎は若い時
放埒
(
はうらつ
)
で、隣町の師匠に隱し子を拵へ、大分金を注ぎ込みましたが、嚴格な主人を憚つてツイそれを打明け兼ねてゐるうち、師匠は死んで娘のお道は
孤兒
(
こじ
)
になり
銭形平次捕物控:119 白紙の恐怖
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「親同士の許婚で、本人もその氣でゐるやうですが、伜の菊次郎は、お夏の氣性を嫌つて、祝言をする氣にもならず、次第に
放埒
(
はうらつ
)
に身を持ち崩して、飛んだことをいたしてしまひました」
銭形平次捕物控:321 橋場の人魚
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
默禮して死體の側から退いたお八尾は、四十二三の淋しい女で、愼しみ深さうなのも、化粧に縁のない顏も、
放埒
(
はうらつ
)
な夫の愛を失つて、忍從と諦らめで靜かに生きてゆく典型的な内儀型でした。
銭形平次捕物控:158 風呂場の秘密
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
これは當然山名屋を
繼
(
つ
)
ぐ可き筈でしたが、
放埒
(
はうらつ
)
で眼を潰した上、父親の生前勘當されてゐたことを言ひ立てゝ、叔父の五左衞門に追ひ出され、叔父の五左衞門自身が山名屋の後に坐り込んで
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
主人の
從弟
(
いとこ
)
の子ださうで、
放埒
(
はうらつ
)
で勘當になり、親が亡くなつた時、殘つた身上と一緒に、大叔父に當る主人に預けられ、暫らく辛棒の具合を見るといふことで、下男同樣に使はれて居りますが
銭形平次捕物控:205 権三は泣く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
甥
(
をひ
)
の吉太郎が
放埒
(
はうらつ
)
のために勘當になると、私の昔の乳母だつた、お安といふ女を
葛西
(
かさい
)
から搜し出して來て、いろ/\訊ねた末その頃私をさらつた者の人相から、小松屋を怨む筋の者を
手繰
(
たぐ
)
つて
銭形平次捕物控:168 詭計の豆
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
母親が死んだ後、父親の午吉は年にも耻ぢぬ
放埒
(
はうらつ
)
で、家へ寄り付いてもくれません。思案に餘つて、昔からの知合で、私を里子に出す時世話をしてくれたといふ、此お屋敷の婆や——お
篠
(
しの
)
さんを
銭形平次捕物控:109 二人浜路
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「三河町の奈良屋三郎兵衞つていふと、親分も知つて居る通り、公儀の御用を勤める大層な材木屋だが——金に不自由がなくなると、人間はどうしても
放埒
(
はうらつ
)
になるんだね。お蔭樣でこちとらは——」
銭形平次捕物控:107 梅吉殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
尤
(
もつと
)
も小松屋はその後
甥
(
をひ
)
の吉太郎といふのを養つて、跡取といふことにして居りましたが、此吉太郎が道樂を覺え、散々
放埒
(
はうらつ
)
の限りを盡した揚句、勘當されて相州
厚木
(
あつぎ
)
へやられて居るとも申しました。
銭形平次捕物控:168 詭計の豆
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
生涯を物慾に
委
(
ゆだ
)
ね切つて、隨分無理な金を溜めた爲に散々諸人の
怨
(
うらみ
)
を買つたらしく、先年女房に死に別れ、
放埒
(
はうらつ
)
な伜を勘當して、娘のお喜多一人を頼りに暮すやうになつてからは
滅切
(
めつき
)
り氣が弱くなり
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さすがは錢形の親分、——これは申上げたくないことですが、二十一になる彌三郎と申す
伜
(
せがれ
)
があります。總領の男の子には相違ないが、耻かしながら身持
放埒
(
はうらつ
)
で、今は親類のところに預けてあります。
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「奉公人ぢやねえよ親分、それはお前、お梅坊と言つて、今の旦那には
姪
(
めひ
)
に當る方だ。この娘の兄さんは身持
放埒
(
はうらつ
)
で行方知れずさ。可哀さうにお梅坊は、奉公人よりヒドい目に逢つて居なさるんだ。罰の當つた話だよ」
銭形平次捕物控:009 人肌地藏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
放
常用漢字
小3
部首:⽁
8画
埒
漢検1級
部首:⼟
10画
“放埒”で始まる語句
放埒者
放埒無頼
放埒病
放埒三昧
放埒不覊
放埒無慚