)” の例文
少兀すこはげの紺の筒袖つつそで、どこの媽々衆かかあしゅうもらったやら、浅黄あさぎ扱帯しごきの裂けたのを、縄にった一重ひとえまわし、小生意気に尻下しりさがり。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
雑木林を抜けて、裏街道を停車場の方へ足を向けた菜穂子は、前方から吹きつける雪のために、ときどき身をげて立ち止まらなければならなかった。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「アハハハ……もうわかったわかった。もう止めてくれ給え伝六君。腹の皮がじ切れる。アハハハハ……」
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
まるで生糸の大きな束を幾十百じ集めた様に、雪白な中に微かな青みを含んでくるめき流るる事七八十間、其処でまた急に底知れぬ淵となって青み湛えているのである。
みなかみ紀行 (新字新仮名) / 若山牧水(著)
けずつた羊毛は先づ長い小房に分けられる。そして此の房の一つをぐる/\廻つてゐるかぎのそばへ持つて行く。鈎は其の羊毛を掴んで廻りながら其の繊維を一本の糸にる。
ひとり羊の毛をりし抛石紐と剛弓に、 715
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
脣の片端が思ひ出し笑ひにぢれてゐます。
癲狂院外景 (新字旧仮名) / 富永太郎(著)
騎士ナイトが悟って、おかしがって、笑う事笑う事、上身をほとんど旋廻して、よろい腹筋はらすじる処へ、以前のが、銚子を持参。で、入れかわるように駆出した。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうしてそのじれ狂うた性慾の変態的習性と、その形容を絶した痛烈な記憶とを、その全身の細胞の一粒ひとつぶ一粒ごとに、張り裂けるほど充実感銘させていた事と思う
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
羊毛りし皮紐の繃帶かけていたはりぬ
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
涙をんではせかえって、身体からだじらせ、じりまわしつつ、ノタ打ちまわりつつ笑いころげた。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
蒟蒻こんにゃくを廊下へ敷いたり、生大根の片腕を紅殻で落したり、芋莄ずいきで蛇をり下げたり、一切そんな悪戯いたずらはしない事にしたんですよ。ですが、婦人だけも随分の人数にんずです。
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうしてその変態的にじれ曲るべく長い間、習慣づけられて来た性慾と、これに絡み付いている
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
枕から透く、その細うれたせなへ、小芳が、そっと手を入れて、上へ抱起すようにして
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのハンカチの棒のように絞り固めた中心なかの方はまだ薄じめりしているらしく、外側のじれたしわの上には、今まで入っていたポケットの内側の染料が赤く波形に染み付いていた。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
二ツ三ツ体をったがあわただしい、我を忘れて肌を脱いだ、単衣ひとえせなこぼづる、雪なすはだえにももつるるくれない、そののあたりからも袂からも、むらむらとして飛んだのは、くだんの白い蝶であった。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうしてじれ固まった神経をバラバラに、ほぐしてしまいますと、一切の行詰まりが同時に打開されて、どんな原稿でもサラサラと書けるようになるに違いない事を、私はよく存じているのです。
スランプ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
れるばかり、肩を寄せて
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)