折重をりかさ)” の例文
いかに冷泉れいぜい折重をりかさねし薄樣うすやうは薄くとも、こめし哀れは此秋よりも深しと覺ゆるに、彼の君の氣色けしきは如何なりしぞ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
姿すがたを、うしてたをやかに折重をりかさねた、そでいろは、萌黄もえぎである。ふかむらさきである。いづれもうへ羽織はおりとはれたが、縞目しまめわからぬ。ふまでもなくもんがあらう。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
踏込ふみこみし故に終には折重をりかさなりて段右衞門を高手たかて小手こていましめ家内の者は宿役人に預けられ段右衞門は江戸表大岡殿の白洲しらすへぞ引れける斯くて大岡殿は重四郎の段右衞門を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
退しさり人違ひにも候べし此長庵に於て御召捕めしとり相成あひなるおぼえ更になしと大膽だいたんにも言拔いひぬけんとするを捕方とりかたの人々聲をかけ覺えの有無うむは云ふに及ばず尋常じんじやうなはに掛れと大勢折重をりかさなりて取押へ遂に繩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
前伏まへぶしに、をとこひざせなのめつて、弱腰よわごし折重をりかさねた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
七八人投付なげつけたれども漸々やう/\折重をりかさなりて捕押とりおさ自身番じしんばんへ上られたりんでも大盜人おほどろばうにて手下てしたが百人ばかりもありと云はなしなり然れども表向おもてむきは一文もらひの袖乞そでごひをして居たと云などとうそにも理を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)