抑制よくせい)” の例文
あとではむしいるまでも羞恥はぢ恐怖おそれとそれから勘次かんじはゞかることからつてきた抑制よくせいねんとがあわてゝもきらせるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
この時の事勢においてこれを抑制よくせいすることあたわず、ついに姑息こそくさくで、その執政をしりぞけて一時の人心をなぐさめたり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
斯樣かやうにしてみづか遠慮ゑんりよをし、また自分じぶんから抑制よくせいをして共同生活きやうどうせいくわつ妨害ばうがいにならぬやうにと注意ちゆういをしてるのである。すなは放任主義はうにんしゆぎ神髓しんずゐとするところであります。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
このやうに抑制よくせいされ、簡單にされて、私の話は、ます/\眞心ほんとうらしく聽えるのだつた。私は、話しながら、テムプル先生が、十分に私を信じてゐると感じた。
世の中の活動を抑制よくせいされてしまった閑父にとって、植物を育成いくせいし、その発育に必然の理を感じることは、自分を小造物者のように思わせるのであったが、同じように
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
その代り肚をすえ命をすててかかるという太々しさ純潔さは失われて、勢いに乗じて自我の抑制よくせいもつつしみも忘れただ慾の皮の仕上げをたのしむだけの老獪ろうかいな古狸になってしまった。
家康 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
しかそのもつとおそれをいだくべき金錢きんせん問題もんだいそのこゝろ抑制よくせいするには勘次かんじあまりにあわてゝかつおどろいてた。醫者いしや鬼怒川きぬがはえてひがしる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
熱烈な言葉や昂奮した語調の方へれさせず、また、彼女を見、その言葉に耳を傾けるものゝ享樂的な氣持ちを抑制よくせいするやうな畏敬ゐけいの感じで、きよめる何ものかゞあるのであつた。
なんでとがめるもんか」勘次かんじ抑制よくせいしたあるもの激發げきはつしたやうにすぐ打消うちけした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)