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てごめ
ふりがな文庫
“
手籠
(
てごめ
)” の例文
蝶吉はあたかも
手籠
(
てごめ
)
にされたもののごとく、三人
懸
(
がか
)
りで身動きもさせない様子で、一
人
(
にん
)
は
柄杓
(
ひしゃく
)
を取って
天窓
(
あたま
)
から水を浴びせておった。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二人はつひに立ち上がつた、——お由利は危ふく
手籠
(
てごめ
)
にならうとしたことだらう。そこへお由利の身を案じて、權次がとび込んだ。
銭形平次捕物控:229 蔵の中の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
受けじと為るを
手籠
(
てごめ
)
に取せて、互に何も知らぬ顔して、木の間伝ひに泉水の
麁朶橋
(
そたばし
)
近く寄る時、書院の静なるに夫の
高笑
(
たかわらひ
)
するが聞えぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
おキンの私室を訪れて、これを
手籠
(
てごめ
)
にしたのが運の尽きさね。八十吉はその心構え細心な潜水夫だから、ガサツな水夫どもの酔いッぷりは肌に合わなかったろう。
明治開化 安吾捕物:07 その六 血を見る真珠
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「自分で云えないのか」と彼が云った、「すると卯之吉は、おまえを
手籠
(
てごめ
)
にでもしようとしたんだな」
しじみ河岸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
というのは俊三以外の人間で、彼の
手籠
(
てごめ
)
になる人間は一人もいなかったし、俊三にしても、うっかり手を出すと、すぐに母に言いつけられるにきまっていたからである。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「面倒だ、やッつけましょう、可いや、
手籠
(
てごめ
)
が悪いという方がありゃ後でまた
対手
(
あいて
)
になる、留めなすったって
合点
(
がってん
)
しねえ、さあ、
退
(
ど
)
け。」
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ね、親分、あの娘は銀之助に
手籠
(
てごめ
)
にされるところだつたんですね。それを助ける積りで、あの匕首で頸筋を刺したんでせう」
銭形平次捕物控:266 処女神聖
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其節御前様の
御腹立
(
おんはらだち
)
一層強く、私をば
一打
(
ひとうち
)
に御手に懸け
被下候
(
くだされさふら
)
はば、なまじひに今の
苦艱
(
くげん
)
は
有之間敷
(
これあるまじく
)
、又さも無く候はば、いつそ御前様の
手籠
(
てごめ
)
にいづれの山奥へも御連れ
被下候
(
くだされさふら
)
はば
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
老婦人を載せたる車夫は不意の出来事に呆れて立ちしが、
手籠
(
てごめ
)
に逢わるるを見るに忍びず、「やい
此奴
(
こいつ
)
等、何をしやがるんでえ。」と客
贔屓
(
びいき
)
。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
往来の人に駆けて来て貰う
術
(
て
)
もあったのでしょうが、十手捕縄を預かる身で、素姓も知れない者に、往来で
手籠
(
てごめ
)
にされるのを見られたくありません。
銭形平次捕物控:034 謎の鍵穴
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「これはね、駿河台のそれ猫股婆の車夫なんで、私が折よく乗合わせなかろうもんなら、光子様を
手籠
(
てごめ
)
にして連れて行く処でごぜえましたぜ。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「命がけでお信を可愛がつて居る人間には違ひあるめえよ。お信は
手籠
(
てごめ
)
にされかけて、聲も出せずに居たんだ」
銭形平次捕物控:202 隠し念仏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
法学生の堕落したのが、上部を繕ってる衣を脱いだ狼と、虎とで
引挟
(
ひっぱさ
)
み、縛って宙に釣ったよりは恐しい
手籠
(
てごめ
)
の仕方。そのまま歩き出した、一筋路。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
娘盛りの頃、強盜に
手籠
(
てごめ
)
にされさうになつて、
銀簪
(
ぎんかんざし
)
で眼を突いて危ふいところを
免
(
まぬが
)
れたことがありました。
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
娘盛りの頃、強盗に
手籠
(
てごめ
)
にされそうになって、銀簪で眼を突いて危ういところを
免
(
まぬか
)
れたことがありました。
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お藤は得三の
手籠
(
てごめ
)
にされて、遂には帯も解け広がりぬ。こは悲しやと半狂乱、ひしと人形に
抱
(
いだ
)
き附きて
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
出して見ろ。帝都劇場の柳糸子が、元の
良夫
(
おっと
)
——乞食のように落ちぶれ果てた丹波高一——に
手籠
(
てごめ
)
にされたと判ったら、東京中の新聞屋がどんなに喜ぶかわからない
踊る美人像
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
車夫に
手籠
(
てごめ
)
にさせようなんて飛んでもないことを遊ばす処では連れて帰ってまた
虐
(
いじ
)
めようという
御思慮
(
おかんがえ
)
としか思われません。それは貴女虫が
好
(
よ
)
過ぎると申すんです。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すると
船頭共
(
せんどうども
)
が、「
恁麽
(
こんな
)
惡僧
(
あくそう
)
が
乘
(
の
)
つて
居
(
ゐ
)
るから
龍神
(
りうじん
)
が
祟
(
たゝ
)
るのに
違
(
ちが
)
ひない、
疾
(
はや
)
く
海
(
うみ
)
の
中
(
なか
)
へ
投込
(
なげこ
)
んで、
此方人等
(
こちとら
)
は
助
(
たす
)
からう。」と
寄
(
よ
)
つて
集
(
たか
)
つて
文覺
(
もんがく
)
を
手籠
(
てごめ
)
にしようとする。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
手籠
(
てごめ
)
なんか飛んでもねえ話で、現に昨夜も、喜三太とお百合が逢引して居た樣子ですよ、二階に寢て居る娘が
階下
(
した
)
で父親の殺されるのも知らずに居る筈はないと思つたら
銭形平次捕物控:203 死人の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
あの晩、お浜が、雨戸をしめに二階へ行くと、若旦那の勘次郎が
手籠
(
てごめ
)
にしようとしたんだ。
銭形平次捕物控:047 どんど焼き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あの晩、お濱が、雨戸をしめに二階へ行くと、若旦那の勘次郎が
手籠
(
てごめ
)
にしようとしたんだ。
銭形平次捕物控:047 どんど焼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「平次、無禮だらう。浪人しても武士の端くれだ、その拙者を
手籠
(
てごめ
)
にするとは何事だ」
銭形平次捕物控:164 幽霊の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
相手は東洲齋を
手籠
(
てごめ
)
にし——聲を出させない爲に、當て身位は喰はせたかも知れない、水落の急所が少しやられて居る、——それから猿轡で、手足を縛つて、拷問に取りかゝつたのだ
銭形平次捕物控:275 五月人形
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
寿美子は黙ってその前に立って居りましたが、この恐ろしい
手籠
(
てごめ
)
の罠に
陥
(
お
)
ちながら、不思議なことに驚きも騒ぎもせず、冷然として、小杉卓二の勝ち誇った顔を見詰めているのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:03 鍵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
清兵衞が
手籠
(
てごめ
)
にしさうになつたのを見ると、我慢が出來なくて突き刺したのだらう。
銭形平次捕物控:180 罠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「聴くと何んでも、主持ちの武家がうっかり押込にでも入られて、
手籠
(
てごめ
)
にでもされようものなら、腹を切るか長のお暇になるか兎も角も、生涯人に顔を見せられないことになるんですってね」
銭形平次捕物控:246 万両分限
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「判らないよ、——だけど、これが欲しさに、立派な御用聞を
手籠
(
てごめ
)
にしたり、
廢
(
すた
)
り者らしくない年増が、押掛嫁に來るところを見ると、餘程の品には違ひあるまい。斯うしようぢやないか、八」
銭形平次捕物控:034 謎の鍵穴
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「判らないよ、——だけど、これが欲しさに、立派な御用聞を
手籠
(
てごめ
)
にしたり、
廃
(
すた
)
り者らしくない年増が、押掛嫁に来るところをみると、余程の品には違いあるまい。こうしようじゃないか、八」
銭形平次捕物控:034 謎の鍵穴
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「容易のことで
手籠
(
てごめ
)
にされる親分じゃありませんが」
銭形平次捕物控:148 彦徳の面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「容易のことで
手籠
(
てごめ
)
にされる親分ぢやありませんが」
銭形平次捕物控:148 彦徳の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
籠
常用漢字
中学
部首:⽵
22画
“手”で始まる語句
手
手拭
手前
手巾
手繰
手許
手向
手綱
手際
手燭