手打てうち)” の例文
権威ある連中の来た時など、祝儀をもらった出方でかたが、花道に並んでその連中に見物の礼を述べたり、手打てうちをしたりして賑わしかった。
寄つてお出でよと甘へる聲も蛇くふ雉子きゞすと恐ろしくなりぬ、さりとも胎内十月の同じ事して、母の乳房にすがりし頃は手打てうち/\あわゝの可愛げに
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
蕪村はこの金鎖きんさを破り、発句を自他無差別むしやべつ大千世界だいせんせかいへ解放した。「お手打てうちの夫婦なりしを衣更ころもがへ」「負けまじき相撲を寝物語かな」等はこの解放の生んだ作品である。
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
露「わたくしは貴方よりほかおっとはないと存じておりますから、仮令たとい此の事がおとっさまに知れて手打てうちに成りましても、貴方の事は思い切れません、お見捨てなさるときゝませんよ」
発車の間際まぎはに牧野の音頭で「しやん、しやん、しやん」と三度手打てうちをしてプラツト・フォオムの群衆を驚かせた。車中には正月の用にと云つて𤍠田丸から大きな「数の子」の樽を積んでれた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
つておでよとあまへるこゑへびくふ雉子きゞすおそろしくなりぬ、さりとも胎内たいないつきおなことして、はゝ乳房ちぶさにすがりしころ手打てうち/\あわゝの可愛かわいげに
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
船頭が麁相そそうで殿様を川へ落し、殿様は死去されたれば、手前は言訳いいわけがないから船頭は其の場で手打てうちに致したが、船頭ばかりでは相済まんぞ、亭主其の方も斬って仕舞うのだが
その度に老爺おやぢが満室の客に注意を与へて演じる人を紹介する。と、今迄思ひ思ひに談笑して居た客が老人も若い者もたちまち静粛になつて傾聴し、其れが終る度に日本の手打てうちの様に一二三の掛声で拍手する。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
殿様のお手打てうちにでもさせる工夫はないかと、いろ/\と考え、しまいには疲れてとろ/\仮寝まどろむかと思うと、ふと目が覚めて、と見れば、二けんへだっているふすまがスウーとあきます。
するとよめあね番頭ばんとうとでいぢめたので、よめつらくてられないから、実家さとかへると、親父おやぢ昔気質むかしかたぎ武士ぶしだから、なか/\かない、られてるやうな者は手打てうちにしてしまふ
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)