手厚てあつ)” の例文
上等兵じょうとうへい小野清作おのせいさくは、陸軍病院りくぐんびょういん手厚てあつ治療ちりょうで、うで傷口きずぐちもすっかりなおれば、このごろは義手ぎしゅもちいてなに不自由ふじゆうなく仕事しごとができるようになりました。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
救はれ萬事の事まであつく世話になりければ悦ぶ事かぎりなく是も其夜は打臥うちふしけるが偖翌日より後藤半四郎は自分の金を出しくすり其外そのほか手厚てあつく世話を致させて先新藤夫婦の身元を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ちやんわたりが付いてゐるんだから、阿母おつかさんはそばから『ちやほや』して、そりや貴方、真面目まじめぢや見ちやゐられないお手厚てあつさ加減なんだから、那奴は図に乗つて了つて、やあ、風呂をわかせだ事の
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
此の意味で周三は、一家内から相應さうおう手厚てあつ保護ほごを受けることになツた。繪を研究する爲には、てい内に、立派な獨立どくりつの畫室もてゝ貰ツた。そして他から見ると、言分いひぶんの無い幸な若様わかさまになツてゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
見て是は/\手厚てあつ土産みやげ何よりの好物かうぶつしか澤山たくさんめぐまれ千萬かたじけなし清兵衞貴樣の店の酒を飮では外の酒は一かうのめなに結構々々けつこう/\と大いによろこ直樣すぐさまさかな調理こしらへさけひら酒宴しゆえんにこそは及びけれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)