ドーア)” の例文
片手でドーアをしめる拍子に、持って居たコーヒー道具の盆は、ツルリと手の上を滑って、廊下の板敷の上へ、アッと思う間もなく、微塵みじんにこわれてしまいました。
判官三郎の正体 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
彼は、畫室を出ることを定めて了つて、入口のドーアに手まで掛けたが、さて其の手を引つ込めて躊躇ためらつた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
左舷さげん當番たうばん水夫すゐふおにじやか、つてらぬかほそのこゝろわからぬが、いま瞬間しゆんかん躊躇ちうちよすべき塲合ばあいでないとかんがへたので、わたくし一散いつさんはしつて、船橋せんけう下部したなる船長室せんちやうしつドーアたゝいた。
後ろの方から、洗練された美しい声、振り返って見ると、次の間に通ずるドーアを背にして、オパール色の洋服を着た、目の覚めるような美しい娘が立って居ります。
判官三郎の正体 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
船長閣下せんちやうかくかたまへ、難破船なんぱせんがある! 難破船なんぱせんがある!』とさけぶと、此時このとき船長せんちやうすで寢臺ベツドうへよこたはつてつたが、『んですか。』とばかり澁々しぶ/\起上おきあがつてドーアひらいた。わたくしはツトすゝ
英子はクルリと振り返って、ドーアを開けようとする女中を呼止めました。
判官三郎の正体 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)