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愬
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うつた
ふりがな文庫
“
愬
(
うつた
)” の例文
或
(
あるひ
)
は
屹度
(
きつと
)
、及第の通知が間違つてゐたのではないかと、
愬
(
うつた
)
へるやうにして父兄席を見ると、木綿の
紋付袴
(
もんつきはかま
)
の父は人の肩越しに
爪立
(
つまだ
)
ち
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
以て戦国に遠からぬ時代の人心に
愬
(
うつた
)
へたる如き、概して言へば
不自然
(
アンナチユラリズム
)
と
過激
(
ヱンサシアズム
)
とは、この時代の演劇に
罅
(
か
)
く可からざる要素なりしとぞ。
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
此點
(
このてん
)
に
付
(
つい
)
ては
國民
(
こくみん
)
一
般
(
ぱん
)
に
愬
(
うつた
)
へて、さうして
國民
(
こくみん
)
と
共
(
とも
)
に
此
(
こ
)
の
多年
(
たねん
)
解決
(
かいけつ
)
の
出來
(
でき
)
なかつた
大問題
(
だいもんだい
)
を
解決
(
かいけつ
)
する
方策
(
ほうさく
)
を
立
(
た
)
てたのである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
そは折を得て送らんとにもあらず、又逢うては言ふ能はざるを言はしめんとにもあらで、
止
(
た
)
だかくも
儚
(
はかな
)
き身の上と切なき胸の内とを
独
(
ひとり
)
自ら
愬
(
うつた
)
へんとてなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
刻々の眼と耳に
愬
(
うつた
)
へるイメエジに、かの音楽の演奏を聴くやうな、韻律美の捕捉を心がけていただきたい。
新劇の観客諸君へ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
▼ もっと見る
夫
(
をつと
)
をして
三井
(
みつゐ
)
、
白木
(
しろき
)
、
下村
(
しもむら
)
の
売出
(
うりだ
)
し
広告
(
くわうこく
)
の前に立たしむればこれある
哉
(
かな
)
必要
(
ひつえう
)
の一
器械
(
きかい
)
なり。あれが
欲
(
ほ
)
しいの
愬
(
うつた
)
へをなすにあらざるよりは、
毫
(
がう
)
もアナタの存在を
認
(
みと
)
むることなし
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
わたくしは
本意
(
ほい
)
なく思つて、或時父に
愬
(
うつた
)
へました。すると父はかう申しました。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
わたしは
愬
(
うつた
)
へるやうに、眠りからたちあがる。
雪
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
鳶職
(
とびしよく
)
である人一倍弱氣で臆病な亭主も、一刻も速く立退いて行つて欲しいと
泣顏
(
べそ
)
を掻いて、彼等にそれを眼顏で
愬
(
うつた
)
へた。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
人間の精神に
愬
(
うつた
)
ふるものならずんばあらず、高大なる事業は境遇等によりて(絶対的に)生ずるものにあらずして、精神の霊動に基くものならざるべからず
明治文学管見:(日本文学史骨)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
といふ意味は、「耳で聴く」といふ観念が先になつてゐるだけで、「耳を通して眼の仮感に
愬
(
うつた
)
へる」といふ最も本質的なラヂオ文学の要素を閑却してゐることである。
ラヂオ・ドラマ選者の言葉
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
これを語らんに人無く、
愬
(
うつた
)
へんには友無く、しかも自ら
拯
(
すく
)
ふべき道は有りや。有りとも覚えず、無しとは知れど、
煩
(
わづら
)
ふ者の煩ひ、悩む者の悩みて
縦
(
ほしいま
)
まなるを
如何
(
いか
)
にせん。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
さうして見れば、時代が既に推移した今、
恩讎
(
おんしう
)
両
(
ふた
)
つながら滅した今になつて、
枯骨
(
ここつ
)
が
朝恩
(
てうおん
)
に
沾
(
うるほ
)
つたとて、何の不可なることがあらうぞ。私はかう思つて同郷の先輩に
謀
(
はか
)
り、当路の大官に
愬
(
うつた
)
へた。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「わすの子供も屹度停学処分を受けることと思ふが、それでも君のやうに心を入れかへる機縁になるなら、わすも嬉しいがのう」と
黯然
(
あんぜん
)
とした涙声で
愬
(
うつた
)
へた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
古代の鬼神を近代の物語に
箝
(
は
)
めて玄妙なる識想を
愬
(
うつた
)
へんとするは、到底為すべからざる事なり。
他界に対する観念
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
そのために「耳を通して他のあらゆる感覚及び精神に
愬
(
うつた
)
える」
ラジオ・ドラマ私見
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
オーイオーイと遠くの方で渇を
愬
(
うつた
)
ふ呼び聲、ビール壜に詰めた水を運ぶ女房たち——そうした彼等の生活を、私共は半ば憧憬の心をもつて暫らくの間見てゐた。
滑川畔にて
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
この観念は以て悲劇を人心の情世界に
愬
(
うつた
)
へしめ、厭世を高遠なる思想家に迎へしむ、人間ありてよりこの観念なきはあらず、或は遠く或は近く、大なるものあり、小なるものあり
他界に対する観念
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
又
怨
(
うら
)
めしげに遣る瀬ない悲味を
愬
(
うつた
)
へた妻の顏までが、圭一郎の眼前に
瀝々
(
まざ/\
)
と浮ぶのであつた。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
人心漸く泰平の娯楽を
愬
(
うつた
)
へ、
彼
(
か
)
の芒々たる
葦原
(
よしはら
)
(今日の吉原)に歌舞妓、見世物
等
(
など
)
、各種の遊観の供給起り、これに次いで遊女の歴史に一大進歩を成し、高厦巨屋
甍
(
いらか
)
を并べて此の葦原に築かれ
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
愬
漢検1級
部首:⼼
14画