愁然しうぜん)” の例文
見て餘所よそながらなる辭別いとまごひ愁然しうぜんとして居たる折早くも二かうかね耳元みゝもとちかく聞ゆるにぞ時刻じこく來りと立上りおとせぬ樣に上草履うはざうりを足に穿うがつて我家を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かたへに一ぽんえのきゆ、年經としふ大樹たいじゆ鬱蒼うつさう繁茂しげりて、ひるふくろふたすけてからすねぐらさず、夜陰やいんひとしづまりて一陣いちぢんかぜえだはらへば、愁然しうぜんたるこゑありておうおうとうめくがごとし。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
又餅をあぶりてくらふ、もちほとんど尽きて毎人唯二小片あるのみ、到底とうていうゑするにらざるを以て、衆談話の勇気いうきもなく、天をあほいただちにづ、其状恰も愁然しうぜん天にうつとふるにたり
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)