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患
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わづら
ふりがな文庫
“
患
(
わづら
)” の例文
「本人は歸りたいに決つてゐます。あんな
蛸入道
(
たこにふだう
)
が
瘧
(
おこり
)
を
患
(
わづら
)
つたやうな、五十男の手掛になつて、日蔭者で一生を送りたい筈はありません」
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
大抵安雑誌の口絵で見覚えてゐるので、誰も彼も天然痘を
患
(
わづら
)
つたやうな顔をしてゐるが、実際髯の無い事だけは確かであつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
(歐洲人は思郷病は山國の民多くこれを
患
(
わづら
)
ふとなせり。)されど又ヱネチアのわが故郷ならぬを
奈何
(
いかに
)
せむ。われは
悵然
(
ちやうぜん
)
として此寺の
屋上
(
やね
)
より降りぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
この
土地
(
とち
)
で
病
(
や
)
み
患
(
わづら
)
ひをしたのは、
其方
(
そち
)
の
見立
(
みた
)
て
書
(
が
)
きがないと、
江戸表
(
えどおもて
)
へ
通
(
とほ
)
らないことは、かねがね
聞
(
き
)
いてゐた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
これでは、東京で、自動車に
跳
(
は
)
ねとばされるのと、何も変りはない。長く
患
(
わづら
)
つて亡くなつたのなら、まだ、受難的な夢を、死者に考へる事も出来たのだが……。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
誰もみな、ぐづ/\
患
(
わづら
)
つて、天壽を全うすることなく死ぬやうな運命に、定められてゐるとは、限らない。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
かう尋ねたのは、僕のところでは家内が長い間
患
(
わづら
)
つたあげくに、月足らずで産をしたからであつた。
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
宮川君は何か失敗して
姑
(
しばら
)
く音信もしない。一番気の毒なのは種田君で長いこと
患
(
わづら
)
つた。そして脊髄の疾患で立ち居が不自由になつた。小半里の路さへ歩くにも容易でない。
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
僕は上に書いた通り、
頗
(
すこぶ
)
る
雑駁
(
ざつぱく
)
な作家である。が、雑駁な作家であることは必しも僕の
患
(
わづら
)
ひではない。いや、何びとの患ひでもない。古来の大作家と称するものは
悉
(
ことごと
)
く雑駁な作家である。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
兵隊辰とは——歩きつつ、彼(女)が語つたところによると、以前は軍人で、日清日露も両方とも出征して勲章を貰つたが、心臓を
患
(
わづら
)
ひ、子供身寄もなくて、ここまで零落したのである。
釜ヶ崎
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
二三年も前から眼病を
患
(
わづら
)
つてゐた新家の御新造の妹なさうで、盛岡でも
可也
(
かなり
)
な金物屋だつたが、
怎
(
どう
)
した破目かで破産して、夫といふ人が首を縊つて死んで了つた爲め、新家の家の家政を手傳ひ旁々
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
恐くは外に
三分
(
さんぶ
)
を
患
(
わづら
)
ひて、内に
却
(
かへ
)
つて
七分
(
しちぶ
)
を憂ふるにあらざらんや。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
患
(
わづら
)
つてからは、もう三年になります。
クロニック・モノロゲ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
力も金も智慧もない私は、命がけの戀患ひでもして、お艶さんに可哀想だと思はせる外は
術
(
て
)
がなかつたのでございます。私は
患
(
わづら
)
ひました。
銭形平次捕物控:238 恋患ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
皆は熱病を
患
(
わづら
)
つた様な眼つきをして、稽古場を捜し廻つた。すると、年の若い道具方の一人が、小道具のなかで
件
(
くだん
)
の真珠を
発見
(
めつけ
)
た。女優はにこ/\ものでそれを受取つて身につけた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「それはもう、三年越し
患
(
わづら
)
つて居る私を、こんなにお世話して下さいます。なんの不自由も御座いません。
勿體
(
もつたい
)
ないほどで」
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「まだありますよ。此春は主人の金兵衞が
傷寒
(
しやうかん
)
を
患
(
わづら
)
つて、危ないと言はれましたが、喜三郎はその枕元に付きつきりで、六十日の間帶も解かなかつたさうですよ」
銭形平次捕物控:161 酒屋忠僕
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
肝腎
(
かんじん
)
の兄が奉公してゐる越中屋といふのは、もとは日本橋で相當の店を開いてゐたが、主人の金六が中風を
患
(
わづら
)
つて沒落し、今では新鳥越に引つ越して、呉服屋とは名ばかり
銭形平次捕物控:239 群盗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
長い間
患
(
わづら
)
つた揚句、親父の私をたつた一人この世に殘して去年の暮に亡くなつてしまひました
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
考へて見て下さいよ。池田屋の若旦那は、戀
患
(
わづら
)
ひをやり、その
從妹
(
いとこ
)
のお才は、まゝ事遊びの夫婦約束を忘れ兼ねて殺され、掛り人のお谷は、若旦那と書いたのを落して、大耻を
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お才と同じ年の二十三、蒼白くて若々しくて、心身共に
脆弱
(
ぜいじやく
)
な感じですが、こんな弱さうな男は、一心不亂に思ひ詰めると、戀の
病
(
やまひ
)
と言つた、古風な
患
(
わづら
)
ひをするのかも知れません。
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「その聲ぢやありませんよ。戀
患
(
わづら
)
ひの戀で、小唄の文句にもあるぢやありませんか」
銭形平次捕物控:238 恋患ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
癆症
(
いたみしやう
)
だか戀
患
(
わづら
)
ひだか知らないが、青くてヒヨロヒヨロしてゐるくせに、どう渡りをつけたか、江島屋の下女のお六を手に入れ、毎日一本づつ、一年も續けて戀文を取次がせるんださうですよ。
銭形平次捕物控:238 恋患ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
苦にして
患
(
わづら
)
ひついたところを、布團まで剥がれた上借りてゐた家を追ひ出されて、去年の春桐畑の野天で死に、父親の濱田屋利助は、それを怨んでこの屋敷の中に忍び込み、藏の前の柿の木に首を
銭形平次捕物控:229 蔵の中の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「面白がつて笑つて居たさうですよ、薄情な野郎で。尤も、それから直ぐ
飛島山
(
あすかやま
)
の花見で、戀
患
(
わづら
)
ひでせう。戀患ひでもしようと言ふ
太
(
ふて
)
え野郎は、他の女の子のことなんか、思ひやりがないわけで」
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其處に親類の娘といふお町が、長い
癆咳
(
らうがい
)
を
患
(
わづら
)
つて寢て居るのでした。
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
中江川平太夫は
白虎
(
びやくこ
)
の平太と異名を取つた大盜賊で、三十臺に
傷寒
(
しやうかん
)
を
患
(
わづら
)
つて頭の毛は眞つ白になりましたが、年はまだ四十そこ/\、ヨボヨボどころか恐ろしい體術の達人で、猿のやうに
梁
(
はり
)
を渡り
銭形平次捕物控:077 八五郎の恋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
屋敷へ歸ると、お定まりの戀の病、彌八郎、枕もあがらない騷ぎだ。こいつは醫者にも藥にも及ばず、中間半次の話で
患
(
わづら
)
ひの種はわかつたが、三千石の大身では、まさか背負ひ小間物屋の市之助の娘を
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あの、父は、永い間
患
(
わづら
)
つて居りますが——」
銭形平次捕物控:139 父の遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
兄弟と言つても義理のある中で、——以前は良い支配人でしたが、父が
患
(
わづら
)
ひついて、身動きも出來なくなると、自分の懷ろばかり肥したやうで、——惡い叔父さんでしたよ、亡くなつた後で調べて見たらびつくりするほど金を
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
耳垂
(
みゝだれ
)
を
患
(
わづら
)
つては居なかつたのかな」
銭形平次捕物控:162 娘と二千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“患”の意味
《名詞》
(カン)苦しむこと。患い。うれい。
(出典:Wiktionary)
患
常用漢字
中学
部首:⼼
11画
“患”を含む語句
患難
苦患
大患
憂患
肺病患者
患者
長患
疾患
患部
梅毒病患者
中風患者
熱病患者
患苦
患者等
瘋癲患者
御患
婦人患者
外患
諸苦患
恋患
...