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おもひや
處を
惣領が
甚六で、
三男が、
三代目の
此の
唐やうと
來た
日には、
今はじまつた
事ではなけれど、
親たちの
迷惑が、
憚りながら
思遣られる。
「だつて、
兄さんが
留守勝で、嘸御
淋しいでせうなんて、あんまり
思遣りが
好過ぎる事を
仰しやるからさ」と云ふ言葉があつた。代助は
其所へ自分を
挟んだ。
彼はハヾトフが
昨日の
事は
噫にも
出さず、
且つ
氣にも
掛けてゐぬやうな
樣子を
見て、
心中一方ならず
感謝した。
這麼非文明的な
人間から、
恁る
思遣りを
受けやうとは、
全く
意外で
有つたので。
以前の
少年も
手傳つて、これから
包を
解いて、
人參を
卓子一杯に
積上げる。
異香室内に
滿つ——で、
尊さが
思遣られる。