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念慮
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ねんりよ
然し
彼が
自分から
甚だしく
悔いつゝあるらしいのを
心に
確めて
強ひては
追求しようといふ
念慮も
起し
得なかつた。
勘次は
只不便に
見えた。
殊に人夫は皆藤原村及小日向村中
血気旺盛の者にして、予等一行と
辛苦を共にし、
古来未曾有の
発見をなさんと欲するの
念慮ある者のみを
選びたるなり
彼等は
他人の
目を
偸むのには
幾多の
支障、それは
其の
爲に
相慕ふ
念慮が
寧ろ
却て
熾に
且つ
永續することすら
有りながら
然しそれで
居ながら
彼は
悲痛から
來る
憤懣の
情が、
只其瘡痍を
何人にも
實際以上に
重く
見せもし
見られもしたい
果敢ない
念慮を
湧かしむることより
外に
何物をも
有たなかつた。