御親子ごしんし)” の例文
大「いえ/\何う致しまして、再度お礼ではかえって恐入ります、こと御親子ごしんしお揃いで斯様な処へおいでは何とも痛入いたみいりましてござる」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おのおのの協力でここまでは無事に運んだ、が、これから御親子ごしんし御対面、将軍家おめみえ、並びに御為派追放の大事が残っておる。
若殿女難記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
御親子ごしんしの間がらでありながら、大殿様と若殿様との間くらい、御容子ごようすから御性質まで、うらうえなのもまれでございましょう。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
またそれがために大殿と若殿とが御親子ごしんし不和の種を播くように相成っては猶々大事じゃ。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なんというても御親子ごしんしは御親子であるで、御記念かたみの脇差を証拠に名乗りで、御当家に御召抱えあるようにと、その御願いの為にお出向きなされたので、なおまだ動きの取れぬ証拠としては
備前天一坊 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
是はまあどうした訳と二三日は気抜きぬけする程恨めしくは存じたれど、只今ただいま承れば御親子ごしんしの間柄、大切の娘御を私風情のいやしき者に嫁入よめいらしてはと御家従ごけらいのあなたが御心配なすッてつれゆかれたも御道理
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
飴色網代蹴出黄棒の乘物といふいま天一坊樣の御身も御親子ごしんし御對顏ごたいがんの上は西丸へ直らせらるゝや又御三家格けかくなるやはた會津家越前家同樣なるや抑々御譜代並の大名にならせ給ふや定めなき御身分ゆゑ朱塗しゆぬりの上に黒漆を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
細川家へお輿入こしいれ遊ばされ候以来、御夫婦御親子ごしんしのかたがたは格別に候へども、男の顔を御覧遊ばされ候は今日この少斎をはじめと致され候よし、後に霜より承り及び候。
糸女覚え書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しの拙僧せつそうが弟子と披露ひろうし置候へ共じつは當將軍家の御落胤らくいんたるゆゑ近々江戸表へ御乘出しあそばされ公方樣くばうさま御親子ごしんし御對顏ごたいがんあれば多分たぶん西の丸へ入らせ給ふべしさすれば再び御目通りはかなはざる樣なり依て近々きん/\御出立前ごしゆつたつぜん格別かくべつの儀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それから大殿様の御隠れになる時まで、御親子ごしんしの間には、まるで二羽の蒼鷹あおたかが、互に相手を窺いながら、空を飛びめぐっているような、ちっとのすきもないにらみ合いがずっと続いて居りました。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
暫時ざんじなりとも取外とりはずす儀はかなひ難し其故は聖護院宮樣みやさま御配下ごはいか天一坊樣御身分は當將軍吉宗公よしむねこうの未だ紀州公御部屋住おへやずみの時分女中に御儲おんまうけの若君にて此度このたび江戸表へ御下向ごげかうあり御親子ごしんし御對顏ごたいがんの上は大方おほかたは西の丸へなほらせらるべし左樣にかるからぬ御身分おみぶんにて徳川は御苗字ごめうじなりまたあふひ御定紋ごぢやうもんなり其方たちが少しもあんじるには
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これにも世間にはとかくの噂がございまして、中には御親子ごしんしで、同じ宮腹みやばらの女房を御争いになったからだなどと、申すものもございますが、元よりそのような莫迦ばかげた事があろう筈はございません。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)