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御苗字
御旅館へ張せられ
町家には
御旅宿相成候や
剩さへ
御苗字の表札を
建させ給ふ事
不審に存じ奉る此段
伺ひ申さん爲今日
御招き申したり御身分の
義明かに
仰聞せられたしとぞ
相述らる時に天一坊
言葉を
暫時なりとも
取外す儀は
叶ひ難し其故は聖護院
宮樣御配下天一坊樣御身分は當將軍
吉宗公の未だ紀州公
御部屋住の時分女中に
御儲けの若君にて
此度江戸表へ
御下向あり
御親子御對顏の上は
大方は西の丸へ
直らせらるべし左樣に
輕からぬ
御身分にて徳川は
御苗字なり
又葵は
御定紋なり其方
輩が少しも
案じるには