御曹子おんぞうし)” の例文
ますらおこそはジュピタア様の御曹子おんぞうし、雷電の征服者ヴァルカンその人であった。キュウピッドという愛くるしい子をさえなした。
懶惰の歌留多 (新字新仮名) / 太宰治(著)
鞍馬の御曹子おんぞうしに告げたらば、さだめし、一人の源家の味方がふえたと、力づよくも思われよう。すると、奥まった東のおく
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一馬の方は元来が大金満家の御曹子おんぞうしのところへ、時局的にも酒造家であり、数十万町歩の山林は持っている、イヤでも闇の大金がころがりこむ
不連続殺人事件 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
弁慶の長刀なぎなた山鉾やまぼこのように、見える、見える。御曹子おんぞうしは高足駄、おなじような桃太郎、義士の数が三人ばかり。五人男が七人居て、かりがねが三羽揃った。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は紀州家の御曹子おんぞうしで、世間知らずの初心の若殿で、それに年も十八で、その上おく手で早熟ませていなかった。
猫の蚤とり武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
中でも一入ひとしおの涙を誘われましたのは、細川殿の御曹子おんぞうし、六郎殿のおん痛わしい御最後でございました。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
ところで、一旦は文覚にねだられて許したものの、頼朝の心には、やはりこの平家の御曹子おんぞうしのことは気にかかってならなかった。それ故、文覚のところに便りあるごとに
「あの御曹子おんぞうしには、まったく、手を焼いてしまう。外出そとでは、禁物だ」誰をさがしているのか、きょろきょろと、走ってきて
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中でも一入ひとしおの涙を誘はれましたのは、細川殿の御曹子おんぞうし、六郎殿のおん痛はしい御最後でございました。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
ふと、前刻さっきの花道を思い出して、どこで覚えたか、魔除まよけのじゅのように、わざと素よみの口のうちで、一歩ひとあし二歩ふたあし、擬宝珠へ寄った処は、あいてはどうやら鞍馬の山の御曹子おんぞうし
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かれや、かれの姉とちがい、永禄えいろく十一年生れのこの御曹子おんぞうしは、生れながら、貧苦も知らず、世間の真実にもふれていない。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
右兵衛佐うひょうえのすけ殿(斯波義敏しばよしとし)の御曹子おんぞうしで、そののち長禄の三年に、義政公の御輔導役伊勢いせ殿(貞親さだちか)の、奥方の縁故にかされての邪曲よこしまなお計らいがもとで父君が廃黜はいちゅつき目にお遇いなされた折り
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
われ御曹子おんぞうしならねども、この夏休みには牛首を徒歩かちあるきして、菅笠すげがさを敷いて対面しょう、とも考えたが、ああ、しばらく、この栗殻の峠には、われぬ可懐なつかし思出おもいでがあったので、越中境えっちゅうざかいへ足を向けた。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「そのお傅役もりやくが、さらわれたのも知らずにいるとは笑止千万しょうしせんばんじゃないか。御曹子おんぞうしはまえから拙者せっしゃがさがしていたおん方だ、もうきさまに用はない」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
右兵衛佐うひょうえのすけ殿(斯波義敏しばよしとし)の御曹子おんぞうしで、そののち長禄の三年に、義政公の御輔導役伊勢いせ殿(貞親さだちか)の、奥方の縁故にかされての邪曲よこしまなお計らひがもとで父君が廃黜はいちゅつき目にお遇ひなされた折り
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
甲斐源氏かいげんじ御曹子おんぞうし武田伊那丸たけだいなまるさまへ忠義ちゅうぎをつくすため、また、お師匠ししょうのおいいつけをまもらんがためしていることだぞ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかも、自身がほどこしたものでもない父の徳望を、この御曹子おんぞうしは、すこし過大な価値におもい込みすぎているのだ。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
子の心親知らずで、丁字風呂の赤い夜具にくるまっている御曹子おんぞうしの心事も知らずに、おやじがムキになっている顔が目に見えるような気もして来る。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まずもって、あっぱれなご成人ぶりを祝福いたす。つねにうわさはきいておるが、イヤ、さすがは機山大居士きざんだいこじ御孫おんまごすえたのもしい御曹子おんぞうしじゃ……」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
息子たちはもう、御曹子おんぞうしとか、若殿とか呼ばせて、畑にも、森にも、出ませんからね。……けれど、梨丸の御主人の方が、はるかに常陸源氏などより、家がらは上です。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——御曹子おんぞうしと申しても、実は、鞍馬寺の預かり稚子ちごでござるゆえ、ちと、身装みなりにも、特徴があるし、体は、年ごろよりは小つぶで、一見いっけん、きかないお顔をしているのですが」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「開けてくれい。おいっ、起きねえかよ、おふくろ。——三蔵御曹子おんぞうしが御帰館あらせられて候ぞ。……あはははは。入れねえッたって、おれの家だからはいらずにあおかねえ」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お忙しくはあらせられましょうが、九郎様にも、折を見てお目通りをたまわりますように。……黄瀬川の夜以来、御曹子おんぞうしにも、悠りとおはなしの折を、毎日、待ちこがれておられますようで」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その名は御曹子おんぞうしの新九郎。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「義朝どのの御曹子おんぞうし
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すさみゆく御曹子おんぞうしなや
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御曹子おんぞうし
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)