御所ごしよ)” の例文
いかなれば齋藤瀧口、今更いまさら武骨者の銘打つたる鐵卷くろがねをよそにし、負ふにやさしき横笛の名にめる。いかなれば時頼、常にもあらで夜ををかして中宮の御所ごしよには忍べる。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
服装ふくそうわたくし時代じだいよりはややふるく、ふとひもでかがった、広袖ひろそで白衣びゃくいまとい、そしてしたはかま穿いてるところは、ても御所ごしよ宮仕みやづかえしてかたのようにうかがわれました。
此年ことし二三享徳きやうとくの夏、二四鎌倉の御所ごしよ成氏朝臣しげうぢあそん二五管領くわんれい上杉うへすぎと御中けて、みたちひやう火に跡なく滅びければ、御所は二六総州そうしうの御味方みかたへ落ちさせ給ふより、関の東たちまちに乱れて
玄竹げんちく町醫まちいであるけれども、つと京都きやうとはうまはして、嵯峨御所さがごしよ御抱おかゝへの資格しかくり、醫道修業いだうしゆげふめにつかはすといふ書付かきつけに、御所ごしよいんわつたのをつてゐるから
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
朝日あさひは、御所ごしよもんかゞやき、つき戎劍じうけん閃影せんえいらした。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此夜、三條大路さんでうおほぢを左に、御所ごしよの裏手の御溝端みかはばたを辿り行く骨格たくましき一個の武士あり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
瀧口もやゝ哀れを催して、『そは氣の毒なる事なり、其の上﨟は何處いづこ如何いかなる人なりしぞ』。『人の噂に聞けば、御所ごしよ曹司ざうしなりとかや』。『ナニ曹司とや、其の名は聞き知らずや』。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)