当分とうぶん)” の例文
旧字:當分
「なにしろたのみとするせがれでしたので、量見りょうけんがせまいようですが、当分とうぶん他人たにんさまのためにどうこうする気持きもちもこりません。」
子供は悲しみを知らず (新字新仮名) / 小川未明(著)
ついでにこのいえもおまえさんにあずけるから、遠慮えんりょなくまってください。わたしたちは当分とうぶん遠方えんぽうへ行ってらさなければなりません。
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
しかたがない、わしの家も当分とうぶんはまだせわしいから手伝てつだっていな。そのうち、どこか小僧こぞうにでもいったらいいだろう。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
「お前、この間、そう云ったじゃねえか。このスウィッチは、当分とうぶん不用ふようだから、いつまでもお使いなさい、とな」
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ランチュウのがありまして、こいつは、うまくそだてりや、たいしたものになるでしよう。いえ値段ねだんはいいです。さしあげるんですよ。えさは、当分とうぶんのうち、たまご黄身きみにしてください。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
当分とうぶん比所ここでみっしり修行しゅぎょうみ、はやうえ境涯きょうがいすす工夫くふうをせねばならぬ。
若者わかものはとんだひろものをしたとおもって、いわれるままにそのいえみました。たった一人ひとりらしですから、当分とうぶんはもらったおこめで、不自由ふじゆうなくらしていきました。
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「そのうちに、君を自由にしてやるよ。当分とうぶんここにいて、わしの仕事に協力してもらうのだ」
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「どうするって、おれには、べつにいいかんがえがないから、当分とうぶんこうしているよりしかたがない。おまえは、かってにするがいいが、そのかねをなくしてしまったら、どうするつもりだ。」
くわの怒った話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
当分とうぶん失踪する。これは遺書いしょである。ドクトル金”