たつ)” の例文
きらひ鎌倉の尼寺あまでらへ夜通のつもりにて行れるなり出入の駕籠舁かごかき善六といふがたつての頼み今夜はこゝに泊られしなりと聞かぬ事まで喋々べら/\と話すを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たつての頼みをこばみ難く、態々わざ/\迎ひに來たと語るのであつたが、然し一言もお定に對して小言がましい事は言はなかつた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
去年使ふてやつた恩も忘れ上人様に胡麻摺り込んで、たつ此度こんどの仕事をうと身の分も知らずに願ひを上げたとやら、清吉の話しでは上人様に依怙贔屓えこひいき御情おこゝろはあつても
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
船橋氏は文部省に掛りの人を訪ねて、かう言ひながらたつてその文章の取消を頼んだ。
夜叉王 たつて御所望とござりますれば……。
修禅寺物語 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
つぎ申度とたつて申聞候故村中むらぢうより餞別せんべつ取集とりあつつかはし候金子八兩二分を所持致し出立せしがみぎ金子きんす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
釧路は裁縫料したてちんの高い所であれば、毎月若干宛いくらかづゝの貯蓄もして居たのを、此家の主婦おかみが人手が足らぬといふので、たつての頼みを拒み難く、手傳に來てからモウ彼是半年になると云つた樣な話で
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
たつてにこ/\しようと思ふなら、その前に先づ痘瘡はうさうにかゝらなくつちや……。
釧路は裁縫料したてちんの高い所であれば、毎月若干いくらか宛の貯蓄もして居たのを、此家ここの主婦が人手が足らぬといふので、たつての頼みを拒み難く、手伝に来てからモウ彼是半年になると云つた様な話で
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
をかし行かれしとて思ふ如き鳥もかゝるまじまづ今日はやめに致し玉へ手柄は何時でもできる事と押止おしとゞめけれど思ひこみたる左京は更に聞き入れず思立しが吉日なり是非とも參りたしとたつての懇望こんまうなれば然程さほどに思はれなば兎も角もと手下の小賊せうぞく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)