“引(ひツ)” の例文
それでからもう砂利(じやり)でも針(はり)でもあれと地(つち)へこすりつけて、十(とう)余(あま)りも蛭(ひる)の死骸(しがい)を引(ひツ)くりかへした上(うへ)から、五六間(けん)向(むか)ふへ飛(と)んで身顫(みぶるひ)をして突立(つツた)つた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
凄(すさま)じく嘶(いなゝ)いて前足(まへあし)を両方(りやうはう)中空(なかぞら)へ飜(ひるがへ)したから、小(ちひさ)な親仁(おやぢ)は仰向(あふむ)けに引(ひツ)くりかへつた、づどんどう、月夜(つきよ)に砂煙(すなけぶり)が𤏋(ぱツ)と立(た)つ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
婦人(をんな)は早(は)や衣服(きもの)を引(ひツ)かけて椽側(えんがは)へ入(はい)つて来(き)て、突然(いきなり)帯(おび)を取(と)らうとすると、白痴(ばか)は惜(を)しさうに押(おさ)へて放(はな)さず、手(て)を上(あ)げて。婦人(をんな)の胸(むね)を圧(おさ)へやうとした。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)