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ひツ
それでからもう
砂利でも
針でもあれと
地へこすりつけて、
十余りも
蛭の
死骸を
引くりかへした
上から、五六
間向ふへ
飛んで
身顫をして
突立つた。
凄じく
嘶いて
前足を
両方中空へ
飜したから、
小な
親仁は
仰向けに
引くりかへつた、づどんどう、
月夜に
砂煙が
𤏋と
立つ。
婦人は
早や
衣服を
引かけて
椽側へ
入つて
来て、
突然帯を
取らうとすると、
白痴は
惜しさうに
押へて
放さず、
手を
上げて。
婦人の
胸を
圧へやうとした。