山猫やまねこ)” の例文
なんだ、またこれをつてかへるほどなら、たれいのちがけにつて、這麼こんなものをこしらへやう。……たぶらかしやあがつたな! 山猫やまねこめ、きつねめ、野狸のだぬきめ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ね床にもぐつてからも、山猫やまねこのにやあとした顔や、そのめんだうだといふ裁判のけしきなどを考へて、おそくまでねむりませんでした。
どんぐりと山猫 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
ジャン・ヴァルジャンはあたかも山猫やまねこつめを甘受してる獅子ししのように、ジャヴェルにつかまれたままじっとしていた。
あお着物きもの赤鬼あかおにもいました。あか着物きもの黒鬼くろおにもいました。それが山猫やまねこのようにきらきらひかかりをさきてて、どやどやりてくるのです。
瘤とり (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
転ぶ噂もきのふと過ぎ、今日けふ迄すましてゐられたが、東京にゐた其の頃は、毎度いろはの新聞で、仮名垣かながきさんに叩かれても、のんこのしやアで押通し、山猫やまねこおきつと名を取つた
虫干 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
山猫やまねこのものさやぎ、なげくうぐひす
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
うかとおもふと、ひざのあたりを、のそ/\と山猫やまねこつてとほる。階子はしごしたからあがつてるらしく、海豚いるかをどるやうな影法師かげぼふしきつねで。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「あゝありがたや、山猫やまねこさま。おかげでわたくしは脚がなくなってもう歩かなくてもよくなりました。あゝありがたいなまねこなまねこ。」
洞熊学校を卒業した三人 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
一郎はをかしいとおもつて、ふりかへつて見ますと、そこに山猫やまねこが、黄いろな陣羽織のやうなものを着て、緑いろの眼をまん円にして立つてゐました。
どんぐりと山猫 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
ところを、歩行ある途中とちゆう人一人ひとひとりにもはなんだ、がへばをんなでも山猫やまねこでも、みな坊主ばうず姿すがたえやうとおもつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「さうぢゃ。みんな往生ぢゃ。山猫やまねこ大明神さまのおぼしめしどほりぢゃ。な。なまねこ。なまねこ。」
洞熊学校を卒業した三人 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
山猫やまねこはなるほどといふふうにうなづいて、それからいかにも気取つて、繻子しゆすのきもののえりを開いて、黄いろの陣羽織をちよつと出してどんぐりどもに申しわたしました。
どんぐりと山猫 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
山猫やまねこはなるほどというふうにうなずいて、それからいかにも気取って、繻子しゅすのきもののえりを開いて、黄いろの陣羽織をちょっと出してどんぐりどもに申しわたしました。
どんぐりと山猫 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「さあいいが、その山猫やまねこはこのくりの木がらひらっとこっちさげだ。鉄砲打てっぽううぢはこうぼかげだ。山猫はとうとうつかまって退治たいじされた。耳の中にこう云う玉入っていた。」
みじかい木ぺん (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
山猫やまねこが申しましたが三人はそれはそれは実に本気の競争をしていたのだそうです。
蜘蛛となめくじと狸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
1 どんぐりと山猫やまねこ