とゞけ)” の例文
旧字:
重三郎はお刀を失い申訳なき為め万年橋から入水したとかみとゞけをした処が……重三郎は如何にも気の毒な事だ……飛んだ災難であったが
そして明日あした出すべき欠席とゞけにはいかにしてまた母の認印みとめいんぬすむべきかを考へた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
あとには子供こども一人ひとり其時そのとき戸長様こちやうさま帳面前ちやうめんまへ年紀とし六ツ、おや六十で二十はたちなら徴兵ちようへいはおこぼしとなに間違まちがへたかとゞけが五ねんおそうして本当ほんたうは十一、それでも奥山おくやまそだつたからむら言葉ことばろくにはらぬが
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
悪い奴ゆえ此の儘まいっても仔細ありません、とゞけにも及びますまい、かえって斬徳きりどくぐらいのものでしょう
と聞いて源之進は大いに驚き、早速にやしきへ立帰り、急ぎおかしらへ向け源次郎が出奔しゅっぽんおもむきとゞけを出す。
誠にうも、それだから娘よりわしが惚れたのだ、お前の志は天晴あっぱれなものだ、其の様な奴は突放つきッぱなしでいよ、腹は切らんでも宜いよ、わたしのようにもお頭にとゞけを出して置くよ、それから何うした
これから祝いに酒肴さけさかなで親類固めに仏の通夜と酒宴さかもりをして、翌日三日の朝、村の倉田平四郎くらたへいしろうという名主へとゞけをして、百姓角右衞門が多助を十文字に背負いまして、夫婦は須賀川まで送って来まして
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それは何方どちらへ、左様でござりますか、実はなアわたくしは昨夜盗賊に出逢いましたによって、おとゞけをしようと思いましたが、何分なにぶん届をするのは心配でナア、世間へ知れてはよくあるまいから、どうもナア
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
兄の名代みょうだい一寸ちょっと念のめにおとゞけにまいりました