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小利口
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こりこう
小利口にきび/\と
立𢌞はつて、
朝は
六つ
前から
起きて、
氣輕身輕は
足輕相應、くる/\とよく
働く
上、
早く
江戸の
水に
染みて、
早速情婦を
一つと
云ふ
了簡から
小利口なるは
狡るき
性根をやしなうて
面かぶりの
大變ものに
成もあり、しやんとせし
氣性ありて
人間の
質の
正直なるは、すね
者の
部類にまぎれて
其身に
取れば
生涯の
損おもふべし
小利口にきび/\と
立𢌞る、
朝は
六つ
前から
起きて、
氣輕身輕は
足輕相應、くる/\とよく
働く
上、
早く
江戸の
水に
染みて
早速に
情婦を
一つと
云ふ
了簡から、
些と
高い
鼻柱から
手足の
爪まで
三十
圓どりの
會社員の
妻が
此形粧にて
繰廻しゆく
家の
中おもへば
此女が
小利口の
才覺ひとつにて、
良人が
箔の
光つて
見ゆるやら
知らねども、
失敬なは
野澤桂次といふ
見事立派の
名前ある
男を