女童めわらべ)” の例文
と、彼はふすまの外であやしんだ。あんなにはしゃいでいた女童めわらべたちの声が少しもしない。ひそとして、無人のように感じたからであった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女童めわらべたちは逃げ場所を求めて大仏殿の二階や、山階寺やましなでらに避難した。
二人の女童めわらべのほうも家から追いだしてしまうと脅しつけた。
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
言ふことはねびてきこゆれ女童めわらべや母を離れてなどか死にせむ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
「遊ぶすべなど知らんでもよい。わしの代りにここへ坐って、ひなの客になっておればよいのだ。女童めわらべたちの玩具おもちゃになって神妙にしておればすむ」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
言ふことはねびてきこゆれ女童めわらべや母を離れてなどか死にせむ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
とはいえ、十を幾ツも出ぬ女童めわらべのころより、この玄恵が手もとにてはぐくみしものを、かかる始末となっては、迂僧うそうも何やら申しわけない心地ではある
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大きタオル黒き裸身らしんに卷きつけ來る女童めわらべ篁子そだたきやらむ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
「そっとしておけ。そちが俄に顔など見せたら、卯木は、女童めわらべのむかしに返って、わっと、いちどに泣くに違いない」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大きタオル黒き裸身らしんに巻きつけ来る女童めわらべ篁子そだたきやらむ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
城を失い、主を失った老人や、女童めわらべたちの身の末が、いかにみじめなものであるかを、信長は知っていた。——思わず、眼がうるんで来るのであった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女童めわらべひかつぐおとの足触りつつをり伸びし芽麦を
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
小野政秀の遺孤ときこえて信長に不愍ふびんがられ、安土あづちの大奥へ女童めわらべとして奉公に上げたことは、さらに姫を不幸にしたものとお沢はいまだに悔いている。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
晝貌やここだかなしき女童めわらべを日ざかりのかどに隔てさぶしき
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
籠城組も内応組も、女童めわらべには目をくれなかったし、むしろその避難を願っていたので、城中でこわい目にも会わなかったが、一歩、城門の方へ溢れ出ようとすると
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昼貌やここだかなしき女童めわらべを日ざかりのかどに隔てさぶしき
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
女童めわらべをあいてに、碁など打ち申していたが、もし徳川どのが、馬を出されもせば、一挙に、関東諸州は、わがふところの物と、実は、盤に打っていた碁石も、人知れず
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夕明る橋の来つつ女童めわらべや甘菜吸ひほけ円き眼をせり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さしもの安土城もいくばくもなくまたあのような業火ごうかにくるまれ、信長一門のさいごこそ地獄絵巻の一図にもありそうだった。女童めわらべたちの逃げまどうたさまも思いやられる。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
男磨る女童めわらべ、日向縁
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
信長は、可憐いじらしい女童めわらべどもの住む奥へ向い、また、この城にある祖先の霊へむかい、心の底から
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女童めわらべは言問へども。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
「おおさ、年端としはもゆかぬ女童めわらべが指揮する野武士のぶしの百人足らず、なんで破れぬことがあろうか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女童めわらべは言問へども。
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
女童めわらべのふたりは、厩番うまやばんの小屋へ教えに行ったが、そこにいつもいる鬼藤次までがいなかった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夕立ががったばかりである。崖土がけつちはすべる。女童めわらべの二人は、ようやく河原へ降りて行った。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つい四年前に輿入こしいれしたばかりの、若い美しい忠興夫人は、その明智家の二女であり、大逆人の光秀のむすめであることを、お下婢すえ女童めわらべまでが、知らぬはないからであった。
「鷺の間へ参るついでに、わしがいいつける。そちは、この女童めわらべたちと遊んでいてやれ」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——では、お慈悲のおくるまをいただいて参りまする。女童めわらべの頃から雑仕のご奉公を申しあげ、今日という終りの日まで、おひさしのご庇護ひごにあずかりました。何とも有難うぞんじまする」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なまめかしい美姫びきと愛くるしい女童めわらべが、董卓にかしずいて、玉盤に洗顔の温水をたたえて捧げていたが、秘書の李儒りじゅがはいって来たのを見ると、目礼して、遠い化粧部屋へ退がって行った。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
軒の翠簾すいれんに、風がうごき、どこかで女童めわらべたちの笑いさざめきが流れていた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、二人をねぎらい、秀吉は、隣を振り向いて、銚子ちょうしを持つ女童めわらべを招いた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぐるりと何十人前の膳が、広間のふすまや壁に沿って輪になって並んでいた。亭主役の茶わん屋捨次郎は、その真ん中に坐ってあいさつを述べ、妻女や女童めわらべの酌で酒がすむと、捨次郎はいつものように
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「十二の時から、信長のぶなが様の大奥に、女童めわらべとして、おつかえして、秀吉様とも、小牧こまきでお目にかかる前から存じ上げておりました。……ここでまた、先生にお目にかかるとは、ほんに奇縁きえんでございまする」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして手近な所にいた少年や女童めわらべの肩を打ちたたいた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女童めわらべたちを、怖がらぬ方へ連れてゆけ」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あははは。女童めわらべみたいな世まい言を」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)