づか)” の例文
たとえば僕が朝起きて今日は天気もよいし、気分もいいから、一奮発ふんぱつして十里先へ遠足する、とこう心の内に十里づかを目的として出発する。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
請取うけとりやが古郷こきやうへ急ぎけるかくて山路に掛り小松原を急ぐ程に身には荒布の如き半纏をまとひし雲助二人一里づかの邊より諸共に出て前後より傳吉を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いままをした古墳こふんみな圓塚まるづかでありまして、そのなかうるしつたかんうづめ、そのうへおほきな石塊いしころつゝんだものであります。これをいしづかといひます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
路傍の両側に立つ一里づかえのきも、それを見返らずには通り過ぎられないほど彼には親しみの深いものになっていた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一日あるひ夢然、三条の橋を過ぐる時、一五二あくぎやくづかの事思ひ出づるより、かの寺ながめられて、白昼ひるながら物すざましくありけると、みやこ人にかたりしを、そがままにしるしぬ。
あと仲よく暮らし、その交野の辻には雉子づかを作り、三本の杉を植えて長く記念にしたという。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
『正保図』に一里づかの記号が入れてある程あって、「冬より春の内牛馬不通」でも、夏秋の候は相当に人通りもあり、割合によく世間に知られる便宜があった為であろうと思う。
上州の古図と山名 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
拾ひ取り行くほどに一里づかほとりより申々御旅人樣是より先に人里なし此宿このやどへ御泊り成れと走り來るを見返れば年の頃十三四なる少女なり今日はつかれたり何所へ泊るも同じ事案内あんないたのむと家路いへぢ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
信濃しなの美濃みの国境くにざかいにあたる一里づかに近い位置をえらんで街道を往来する旅人の目にもよくつくような緩慢なだらかな丘のすそに翁塚おきなづかを建てる、山石や躑躅つつじらんなどを運んで行って周囲に休息の思いを与える
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)