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執心
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しゅうしん
ふりがな文庫
“
執心
(
しゅうしん
)” の例文
たいていの学者は、それをなにかの
悪戯
(
いたずら
)
のように考えたらしいですが、私は、それに
執心
(
しゅうしん
)
五年、やっと読み解くことができたのです。
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「あの
阿呆
(
あほう
)
をね。たれがまあ手をつけたんだか——もっとも、
阿濃
(
あこぎ
)
は次郎さんに、
執心
(
しゅうしん
)
だったが、まさかあの人でもなかろうよ。」
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「その娘を清水の旦那が引取ると、浪人者の大井半之助さんが付いて来て、近所に家を借りて見張っているんです。大変な
執心
(
しゅうしん
)
ですよ」
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ほほう、しからばお手前は、木曽家の重役甚五衛門殿のご子息殿でござったか。してまた何故忍術家をそれほどご
執心
(
しゅうしん
)
なさるるな?」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
もし左大臣が
執心
(
しゅうしん
)
とあるならば、どうなと好きなようにされるもよかろう、———と、彼はそれぐらいに思ったでもあろうし、それに又
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
「そうだ、家来を付けて、三河一色村へ送り返してやれ。じつの所、女苦労など、うるさくなった。藤夜叉にもはや
執心
(
しゅうしん
)
はない」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お艶、……貴様に、本所の鈴川が
執心
(
しゅうしん
)
のことは、拙者も以前から承知しておったが、拙者の妻たる貴様が、かれごときに幾分なりとも心を
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
かの藍玉屋の金蔵の如きは、
執心
(
しゅうしん
)
の第一で、何かの時に
愁
(
うれ
)
いを帯びたお豊の姿を一目見て、それ以来、
無性
(
むしょう
)
に
上
(
のぼ
)
りつめてしまったものです。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
少しも粗末にせず
湛念
(
たんねん
)
に拾い合せて、今まで心づかずにいたことを問題にして行くだけの
執心
(
しゅうしん
)
が必要であり、それには日本の民俗学徒の年来の実習が
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
その恐ろしく
執心
(
しゅうしん
)
な懇願的な調子を見ると、私はどうしても訪ねて来ずには居られなかった。彼の神経が焦ら立って居る事は、書信の面に一目瞭然と露れて居た。
アッシャア家の覆滅
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
そのうち元老連は追い追い浮世の花を見捨て斯界ようやく寂寞、三十年から三十五、六年を全盛期として以後は天明ぶりの妙味も世に合わず、
執心
(
しゅうしん
)
の輩も減る一方。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
わたくしも笑いましたが、何だかその恰好に律義な
執心
(
しゅうしん
)
のようなものが見えて愛感が持てました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
と照常様もご
執心
(
しゅうしん
)
だった。その外いろいろとご註文が出たが、お母様のご返事は
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
友「宜しゅうございます、そう云う腹の腐った女でございますなら思いきりますから、
女房
(
にょうぼ
)
にでも
情婦
(
いろ
)
にでも
貴方
(
あなた
)
の御勝手になさい、
左程
(
さほど
)
執心
(
しゅうしん
)
のあるお村なら
長熨斗
(
ながのし
)
をつけて上げましょう」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「おまえも藻にはきつい
執心
(
しゅうしん
)
じゃが、末は
女夫
(
めおと
)
になる約束でもしたのかの」
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
見とおす——と、言いたいが、実はな、この老人も、中村座の初日が、気になって、のぞきにまいった——すると、あの一行の幕張りがあって、大分、そなたに
執心
(
しゅうしん
)
しているように見えたゆえ——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
……剣術が先か魚釣りが先か、おれにはどちらともわからねえが、おそらくたいへんな修業をしたものだ。……鱚を釣って人の喉を鎌形に
抉
(
えぐ
)
る練磨をつむなどというのは、だいぶ格はずれな
執心
(
しゅうしん
)
だの。
顎十郎捕物帳:04 鎌いたち
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「そうしてみると、先生なかなかご
執心
(
しゅうしん
)
なんだねえ」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
たゞもう
一途
(
いちず
)
な、
執心
(
しゅうしん
)
の強い
生真面目
(
きまじめ
)
な表情で、じっと此方の眼の中を視すえているので、滋幹は又気味悪くなって来て
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「なるほど、あいつが深い
執心
(
しゅうしん
)
だけあって、お千絵様はまるで
初心
(
うぶ
)
だ。これじゃ、
策
(
て
)
にのせても一向
騙
(
だま
)
し
甲斐
(
がい
)
がねえな」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「尺八が
執心
(
しゅうしん
)
なそうで、及ばずながら御相談相手になりましょう。——前々からだいぶおやりでしょうな」
銭形平次捕物控:124 唖娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ふうむ」と老人は眼を閉じて常陸の言葉を聞いていたが、「それほどまでのご
執心
(
しゅうしん
)
老人過分に存じ申す——こなた石川五右衛門殿の、お心持ちはいかがかな?」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いっそくだけて町人にでもなろうか……などという考えを、よしぼんやりにしろ起こすところを見れば、栄三郎かえってお艶に
執心
(
しゅうしん
)
の強いものがあるのではなかろうか。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ことに茂太郎を
執心
(
しゅうしん
)
で、お角もそれがためには思案に乱れているとのことでしたが、本人の茂太郎は、いっこう平気で、自分の周囲に群がる肉の香の高い女たちには眼もくれず
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
勿論これが身の運の
岐
(
わか
)
れ
路
(
みち
)
であった故に、教えるにも覚えるにも全力を傾け
尽
(
つく
)
し、その
執心
(
しゅうしん
)
は或いは世の常の学問授受を超越したであろうが、あわれや陸上の人々は、おおむねこれを
顧
(
かえり
)
みなかった。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「そんなにまで、兵学に
執心
(
しゅうしん
)
して、おぬし、その兵学を役立たせる日があるとでも信じているのか」
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自害してまでも見たいというそちの
執心
(
しゅうしん
)
には我が折れた。
滅多
(
めった
)
に出されぬ器じゃが、今日は宝蔵から取り出そうぞ。これこれ左近吾宝蔵へ参って
彼
(
か
)
の髑髏盃を取り出して参れ
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
執心
(
しゅうしん
)
に洗いつつあった米友の手をはなれて、しかもこれが尋常に取外したとか、取落したとかいうほどのものでなく、
犀
(
さい
)
が月を
弄
(
もてあそ
)
んで水が天上に走るような勢いで、宙に向って飛んだのだから
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
神田の次平、五郎八と名乗って、忍術
執心
(
しゅうしん
)
のことを申入れると
銭形平次捕物控:096 忍術指南
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「いつでも御案内して参ろう。柳生城の当主
宗厳
(
むねとし
)
どのにも、兵法の道には
執心
(
しゅうしん
)
と、ゆうべも何かの折、おうわさしたところ、一度は
御見
(
ぎょけん
)
に入りたいものと、伊勢どのにも云われてござった」
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「大変な
執心
(
しゅうしん
)
でございますなあ」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あの
執心
(
しゅうしん
)
ぶりでは是が非でも、朱実になんとか得心させなければ納まるまいが、本人よりは母親であるおまえの考えのほうが
肝腎
(
かんじん
)
、金のところはどのくらいだと、真面目になってかけ合うのだった。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“執心”の意味
《名詞》
執心(しゅうしん)
何かに心が惹かれ、そのことから離れることができないこと。
(出典:Wiktionary)
執
常用漢字
中学
部首:⼟
11画
心
常用漢字
小2
部首:⼼
4画
“執心”で始まる語句
執心者