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因循
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いんじゅん
ふりがな文庫
“
因循
(
いんじゅん
)” の例文
佐幕、勤王、
因循
(
いんじゅん
)
三派のどれにでも共鳴しながら同じ宿に泊る。馳走をするような調子で
酒肴
(
さけさかな
)
を取寄せる上に油断すると女まで呼ぶ。
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
今度の事件からます/\
因循
(
いんじゅん
)
に、臆病になって、何と云われても人前などへ出る料簡にはなれないらしく、
強
(
し
)
いてすゝめると
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
諸友の
因循
(
いんじゅん
)
なるを
尤
(
とが
)
め、曰く、「彼らあるいはまた背き去るといえども、
蓋
(
けだ
)
し村塾爐を囲み、徹宵の談を忘れざるべし」と。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
(勝豊は
因循
(
いんじゅん
)
で、はきはきせぬやつじゃ。子のような気心がせぬ。それにひきかえ勝敏は、邪気もなく、飽くまでわしを父としてよう
馴
(
な
)
つきおる)
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
実際、
串戯
(
じょうだん
)
ではない。そのくらいなんですもの。仏教はこれから
法燈
(
ほうとう
)
の輝く時です。それだのに、
何故
(
なぜ
)
か、
貴下
(
あんた
)
がたが
因循
(
いんじゅん
)
して
引込思案
(
ひっこみじあん
)
でいらっしゃる。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
二十八日、
少許
(
すこし
)
の金と福島までの馬車券とを得ければ、
因循
(
いんじゅん
)
日を費さんよりは苦しくとも出発せんと馬車にて仙台を立ち、日なお暮れざるに福島に着きぬ。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そうしてそのつど道の開ける思いを、雲霧の晴れる思いを経験しました。私達は自分達の臆病な心を
庇
(
かば
)
ってはなりませんね。人に対して
因循
(
いんじゅん
)
であってはいけませんね。
聖アンデルセン
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
それでもその日私の気力は、
因循
(
いんじゅん
)
らしく見える先生の態度に逆襲を試みるほどに
生々
(
いきいき
)
していた。私は青く
蘇生
(
よみがえ
)
ろうとする大きな自然の中に、先生を誘い出そうとした。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
両親の喜び
一方
(
ひとかた
)
ならず、東京にて日を暮し得るとは何たる
果報
(
かほう
)
の身の上ぞや、これも全く
英子
(
ひでこ
)
が朝鮮事件に
与
(
あずか
)
りたる余光なりとて、進まぬ兄上を
因循
(
いんじゅん
)
なりと叱りつつ
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
彼はこの
卑怯
(
ひきょう
)
因循
(
いんじゅん
)
な態度で
終
(
つ
)
いに人々から狙われるに至ったのかと私は気づいたが、不断のように
敢
(
あえ
)
て代弁の役を買って出ようとはしなかった。そして私はわざとはっきりと
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
いずれも
腐儒
(
ふじゅ
)
の
因循
(
いんじゅん
)
をわらい、
鎖港論
(
さこうろん
)
を空吹く風と聞き流し、
率先
(
そっせん
)
して西洋事情の紹介や、医書、究理書の翻刻に力を入れ、長崎や横浜に仕入れの出店を持って手びろく
舶載物
(
はくさいもの
)
を輸入する
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「それははじめてうかがいます。かえって師匠などからは、いかに女形だというて、平常はもっと、てきぱきしなければならぬ。そなたは
兎角
(
とかく
)
因循
(
いんじゅん
)
すぎるなどとさえもうされておりますのに——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
もしもこの際に流行の洋学者か、または有力なる勤王家が、藩政を
攪擾
(
かくじょう
)
することあらば、とても今日の旧中津藩は見るべからざるなり。今その
然
(
しか
)
らざるは、これを偶然の幸福、
因循
(
いんじゅん
)
の
賜
(
たまもの
)
というべし。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
如何に彼が大奥の
援引
(
えんいん
)
によりてその位を固うしたるにせよ、如何に彼が
苟安
(
こうあん
)
を
偸取
(
とうしゅ
)
したるの
譏
(
そし
)
りは免るべからざるにせよ、如何に
因循
(
いんじゅん
)
姑息
(
こそく
)
の風を
馴致
(
じゅんち
)
し、また
馴致
(
じゅんち
)
せられ
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
僕は思った事をすぐ口へ出したり、またはそのまま
所作
(
しょさ
)
にあらわしたりする勇気のない、
極
(
きわ
)
めて
因循
(
いんじゅん
)
な男なんだから。その点で卑怯だと云うなら云われても仕方がないが……
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
藩の方でも
因循
(
いんじゅん
)
であったのか、
強
(
し
)
いて呼返すと
云
(
い
)
うこともせずに、その罪は
中津
(
なかつ
)
に居る父兄の身に降り
来
(
きたっ
)
て、その方共の子弟が
命
(
めい
)
に
背
(
そむ
)
いて帰藩せぬのは
平生
(
へいぜい
)
の教訓
宜
(
よろ
)
しからざるに
由
(
よ
)
る
云々
(
うんぬん
)
の文句で
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
もしあるいは
因循
(
いんじゅん
)
姑息
(
こそく
)
、
迂僻
(
うへき
)
固陋
(
ころう
)
、
放誕
(
ほうたん
)
謬戻
(
びゅうれい
)
の意見を以て、あるいは幕府のためにし、あるいは朝廷のためにし、もしくは風潮を視、夕に変じ、朝に換わるが如き雷同附和者流に至っては
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
こう続けざまに芝居を見るのは私の
生涯
(
しょうがい
)
において
未曾有
(
みぞう
)
の珍象ですが、私が、私に固有な
因循
(
いんじゅん
)
極まる在来の軌道をぐれ出して、ちょっとでも陽気な
御交際
(
おつきあい
)
をするのは全くあなたのせいですよ。
虚子君へ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“因循”の意味
《名詞》
因循(いんじゅん)
古い因習にとらわれ、改めないこと。また、そのようなさま。
ぐずぐずしていること。また、そのようなさま。
(出典:Wiktionary)
因
常用漢字
小5
部首:⼞
6画
循
常用漢字
中学
部首:⼻
12画
“因循”で始まる語句
因循姑息
因循吏
因循的