トップ
>
古綿
>
ふるわた
ふりがな文庫
“
古綿
(
ふるわた
)” の例文
古綿
(
ふるわた
)
に似た薄雲をもれる朝日の光が力弱くそれを照らすたびごとに、煮え切らない影と光の変化がかすかに山と海とをなでて通るばかりだ。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
いたく古びてところどころ
古綿
(
ふるわた
)
の現われし衣の、火に近き
裾
(
すそ
)
のあたりより湯気を放つは、朝の雨に
霑
(
うるお
)
いて、なお
乾
(
ほ
)
すことだに得ざりしなるべし。
たき火
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
見ると寝椅子の上に
古綿
(
ふるわた
)
のやうなものがあるので、ぶつ/\言ひながらそれを引つ掴むで
反古籠
(
ほごかご
)
のなかに
投
(
ほ
)
り込んだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
戸外
(
そと
)
に出て海の方を見ていた村の人の
某者
(
あるもの
)
は、
冥濛
(
めいもう
)
な海の
果
(
はて
)
に当って、
古綿
(
ふるわた
)
をひきちぎったような雲が浮んで、それに電光がぎらぎらと燃えつくようになったのを見た。
月光の下
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
かと
思
(
おも
)
へば、
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
に
近
(
ちか
)
いのは、あらう
事
(
こと
)
か、
鬼
(
おに
)
の
首
(
くび
)
を
古綿
(
ふるわた
)
で
面形
(
めんがた
)
に
取
(
と
)
つた
形
(
かたち
)
に、
靄
(
もや
)
がむら/\と
瓦斯燈
(
がすとう
)
の
其
(
そ
)
の
消
(
き
)
えたあとに
蟠
(
わだかま
)
つて、
怪
(
あや
)
しく
土蜘蛛
(
つちぐも
)
の
形
(
かたち
)
を
顯
(
あらは
)
し、
同
(
おな
)
じ
透間
(
すきま
)
から
吹
(
ふ
)
く
息
(
いき
)
も
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
古綿
(
ふるわた
)
のごとく
此處
(
こゝ
)
も
寸斷
(
ちぎ
)
れ
彼所
(
かしこ
)
も
寸斷
(
ちぎ
)
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
空模樣
(
そらもやう
)
は、その
癖
(
くせ
)
、
星
(
ほし
)
が
晃々
(
きら/\
)
して、
澄切
(
すみき
)
つて
居
(
ゐ
)
ながら、
風
(
かぜ
)
は
尋常
(
じんじやう
)
ならず
亂
(
みだ
)
れて、
時々
(
とき/″\
)
むく/\と
古綿
(
ふるわた
)
を
積
(
つ
)
んだ
灰色
(
はひいろ
)
の
雲
(
くも
)
が
湧上
(
わきあが
)
る。とぽつりと
降
(
ふ
)
る。
降
(
ふ
)
るかと
思
(
おも
)
ふと、
颯
(
さつ
)
と
又
(
また
)
暴
(
あら
)
びた
風
(
かぜ
)
で
吹拂
(
ふきはら
)
ふ。
夜釣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
古
常用漢字
小2
部首:⼝
5画
綿
常用漢字
小5
部首:⽷
14画
“古綿”で始まる語句
古綿子