)” の例文
「行者のひたい膏薬こうやくは、どうもわざとな面霞つらがすみか、金印(いれずみ)隠しによくやる手かも知れません。ひとつ、引ッがして見て下さらんか」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
覆面探偵の方はいずれ仮面をひっいでやるが、彼からポントスのことやパチノ墓地のことを十分吐きださせた後からでも遅くはないであろう
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ガラッ八は弥次馬を追わせて菰を引っぐと、死んでからかえって綺麗になったお勘は、濡れ腐ったまま何の苦労もなく眼をつぶっているのです。
このえせ総裁のえせ仁慈のえせ偽善者の世にも恐ろしい食わせ者の、大怪盗殿下の面皮を引っがさなければならぬと嬢はいきどおろしさに、身を震わせたのであった。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
ついでに着物を引っいでくれい。ナイフで切り裂いても構わない。そうだそうだ……。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
紀久子は敬二郎の肩に手をかけてがした。瞬間、正勝は自分の身体からだから離れていく敬二郎の鳩尾みぞおちに突きの一撃を当てた。急所を突かれて、敬二郎は顔をしかめながら、まったく闘争力を失った。
恐怖城 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
やがてそのうちにいくじのない連中がまたもや蜂起ほうきして、獣の上にまたがって、⦅秘密⦆を手にした姦婦かんぷの面皮を引っがし、その紫色のマントを引き裂いて、⦅醜い体⦆を裸にするということだ。
引っいでひっくくろうてんだ。な、わかったか。解ったらさ——
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「返事をせい! 黙っていたら引っぐぞ」
流行暗殺節 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
「どいつもまるで血眼ちまなこだ。ウム、この分では明日あしたは疲れる、その隙に天井裏を引ッいで逃げ出すには究竟くっきょうだ」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「覆面をぐと、その下から現はれた顏は、——親分の前だが、驚いたの驚かないの——」
すなわち、まずその時の呉青秀の心理的要素を包んでいる『忠君愛国の観念』という、表面的な意識を一枚引っいで見ると、その下から第一番に現われて来るのは燃え立つような名誉慾だ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そういって啓之助は、片手を廻して死骸がかぶっている銀杏笠いちょうがさの紐を解こうとしたが、持ちこらえているのが辛いので、へりをつかんでペリッと引っいだ。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「覆面をぐと、その下から現れた顔は、——親分の前だが、驚いたの驚かないの——」
新九郎はあたりを見廻して、合羽、竹の子笠、門鑑の三つをいで、素早く自分の体にまとった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
焚きつけは硫黄付け木の小枝で間に合せ、油はほんの少しばかりの灯油が、行灯あんどんの皿と古い小さい油壺あぶらつぼにあるだけ、綿は蒲団ふとんでも引っがしたら古いのが出て来るかも知れないといった程度です。
「官職を引っいでだぞ。——盧植を官に置こうという者はおれの相手だ」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手頃のまきを一本持って来た平次は、部屋の天井板を一枚一枚叩いておりましたが、やがて押入へもぐり込むと、新しく貼った壁張の紙を引っがし、壁を少し叩き落し、十枚ばかりの小判を持って
「ばかな奴めら。きつねたぬきはいるだろうが、神や仏なんてものがあるならお目にかかりてえくらいなもんだ。おうっ兄弟、その御厨子みずしすだれを引ッいでみろ。宋江のやつ、もしやそこかもしれねえぞ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今に、その覆面を引っいでやるから見ておれよ。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おうっ、引っいでみろ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)