トップ
>
几帳
>
きちやう
ふりがな文庫
“
几帳
(
きちやう
)” の例文
板敷の間に
七八
床畳
(
とこだたみ
)
を設けて、
七九
几帳
(
きちやう
)
、
八〇
御厨子
(
みづし
)
の
飾
(
かざり
)
、
八一
壁代
(
かべしろ
)
の絵なども、皆
古代
(
こだい
)
のよき物にて、
八二
倫
(
なみ
)
の人の住居ならず。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
が、
蝶鳥
(
てふとり
)
の
几帳
(
きちやう
)
を立てた陰に、燈台の光を
眩
(
まぶ
)
しがりながら、男と二人むつびあふ時にも、嬉しいとは一夜も思はなかつた。
六の宮の姫君
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
部屋から部屋、廊下から廊下を過ぎて、奧の一と間に近づいた平次は、漸く大合唱の湧き起る場所を突き留めて、
几帳
(
きちやう
)
をかゝげて、そつと覗きました。
銭形平次捕物控:283 からくり屋敷
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
几帳
(
きちやう
)
のかげに、長い髮に香を
炷
(
た
)
きしめさせてゐるのもある。
鬢上
(
びんあ
)
げをしたまま煙草をくゆらしてゐるのもある。
春
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
几帳
(
きちやう
)
とも、
垂幕
(
さげまく
)
とも
言
(
い
)
ひたいのに、
然
(
さ
)
うではない、
萌黄
(
もえぎ
)
と
青
(
あを
)
と
段染
(
だんだら
)
に
成
(
な
)
つた
綸子
(
りんず
)
か
何
(
なん
)
ぞ、
唐繪
(
からゑ
)
の
浮模樣
(
うきもやう
)
を
織込
(
おりこ
)
んだのが
窓帷
(
カアテン
)
と
云
(
い
)
つた
工合
(
ぐあひ
)
に、
格天井
(
がうてんじやう
)
から
床
(
ゆか
)
へ
引
(
ひ
)
いて
蔽
(
おほ
)
うてある。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
ライラックの枝花模樣の
更紗
(
さらさ
)
の服を着て、兩耳の上に
几帳
(
きちやう
)
面な捲髮を垂れたフィービ孃は、『エイブラム師』に叮嚀に
會釋
(
ゑしやく
)
をし、チエスタ孃に向つて、儀式張つて捲髮を振つた。
水車のある教会
(旧字旧仮名)
/
オー・ヘンリー
(著)
この入りつる格子はまだ
鎖
(
さ
)
さねば、
間
(
ひま
)
見ゆるによりて西ざまに見通し給へば、この
際
(
きは
)
にたてたる屏風も、端のかたおし畳まれたるに、
紛
(
まぎ
)
るべき
几帳
(
きちやう
)
なども、暑ければにや打掛けて
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ぐつすりと
寢込
(
ねこ
)
んで
居
(
ゐ
)
た、
仙臺
(
せんだい
)
の
小淵
(
こぶち
)
の
港
(
みなと
)
で——
霜
(
しも
)
の
月
(
つき
)
に
獨
(
ひと
)
り
覺
(
さ
)
めた、
年
(
とし
)
十九の
孫一
(
まごいち
)
の
目
(
め
)
に——
思
(
おも
)
ひも
掛
(
か
)
けない、
艫
(
とも
)
の
間
(
ま
)
の
神龕
(
かみだな
)
の
前
(
まへ
)
に、
凍
(
こほ
)
つた
龍宮
(
りうぐう
)
の
几帳
(
きちやう
)
と
思
(
おも
)
ふ、
白氣
(
はくき
)
が
一筋
(
ひとすぢ
)
月
(
つき
)
に
透
(
す
)
いて
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
顔の後にほのめいてゐるのは、鶴を織り出した
几帳
(
きちやう
)
であらうか? それとものどかな山の裾に、
女松
(
めまつ
)
を描いた障子であらうか? 兎に角曇つた銀のやうな、薄白い
明
(
あかる
)
みが拡がつてゐる。……
好色
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“几帳”の解説
几帳(きちょう)は、平安時代以降公家の邸宅に使われた、二本のT字型の柱に薄絹を下げた間仕切りの一種。
簾の内側に立てて二重の障壁とするほか、可動式の間仕切り・目隠しとして大きな部屋の仕切りに使ったり、参拝の折など高貴の婦人の身を衆目から隠す障壁、荷物などを見苦しくないよう隠しておく目隠しなどとしてわりに広い用途に用いられた。
変わった用途としては、女房が街道を歩くときに傍仕えの女の童二人に小型の几帳を持たせて顔を隠す「差几帳(さしきちょう)」がある。
(出典:Wikipedia)
几
漢検1級
部首:⼏
2画
帳
常用漢字
小3
部首:⼱
11画
“几帳”で始まる語句
几帳面
几帳窓
几帳御厨子