やっ)” の例文
「ちょっとおたずねですがな、お昼すぎごろに、ななやっつぐらいの子どもらが十人ほど通ったのを、見ませなんだかいな」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
半「彼奴あいつも縛るのよそれから台所に出刄庖丁か何か有るだろう、其奴そいつを持ってさアやっつにするぞと云って」
何でも天地開闢かいびゃくころおい、伊弉諾いざなぎみこと黄最津平阪よもつひらさかやっつのいかずちしりぞけるため、桃のつぶてに打ったという、——その神代かみよの桃の実はこの木の枝になっていたのである。
桃太郎 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
父親はこのごろ為吉が妙にふさいでばかりいるのが合点がてんがいかないのでした。為吉はまだやっつでしたが、非常に頭のよい賢こい子で、何かにつけて大人おとなのようなかんがえを持っていました。
少年と海 (新字新仮名) / 加能作次郎(著)
町家ちょうか内儀ないぎらしい丸髷まるまげの女がななやっツになる娘の手を引いて門のなか這入はいって行った。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
あんこくじには、ななつ やっつ ぐらいの こぞうが 十にんばかりも いました。一休いっきゅうさんは そのなかで いちばん としした でしたが、いちばん りこうで、とんちが ありました。
一休さん (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
川はみっつの瀬を一つに、どんよりと落合おちあつて、八葉潟やつばがたの波は、なだらかながら、やっつに打つ……星のうずんだ銀河が流れて漂渺ひょうびょうたる月界にらんとする、あたかかたへ出口のところで、その一陣の風に
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
家継公いえつぐこう様は、まだたったおやっツ、無論、お世嗣よつぎはねえわけだ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)