修善寺しゆぜんじ)” の例文
湯治たうぢ幾日いくにち往復わうふく旅錢りよせんと、切詰きりつめた懷中ふところだし、あひりませうことならば、のうちに修善寺しゆぜんじまで引返ひきかへして、一旅籠ひとはたごかすりたい。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「ちと君に頼みたい事があつてね、——実は二三日保養かたがた修善寺しゆぜんじ湯河原ゆがはらへ小説を書きにきたいんだが、……」
塵労 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
伊豆では修善寺しゆぜんじ、そこは何と言つても好い温泉場であつた。胃腸に効能があるばかりでなく、あたりのさまがいかにも静かで、すつかり心を落附かせることが出来た。
女の温泉 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
が、取立とりたてて春雨はるさめのこの夕景色ゆふげしきはなさうとするのが趣意しゆいではない。今度こんど修善寺しゆぜんじゆきには、お土産話みやげばなしひとつある。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
が、はなすゝきうへをすらすらと、すぐに修善寺しゆぜんじへついて、菖蒲湯あやめのゆかれるやうな、やさしいのではない。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……九時五十分くじごじつぷんかの終汽車しまひぎしやで、東京とうきやうるんです。……靜岡しづをかへ、ちやうど、あけにきますから。それだと、どつちをけんぶつしても、のうちに修善寺しゆぜんじまゐられますよ。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あめれたあさである。修善寺しゆぜんじ温泉宿をんせんやど、——くわん家族かぞく一婦人いちふじんと、家内かない桂川かつらがは一本橋いつぽんばしむかうの花畑はなばたけ連立つれだつて、次手ついで同家どうけひかへ別莊べつさう——あきである——をせてもらつた、とつてはなした。
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)