何有なあに)” の例文
何有なあに、これでいさ、澤山たくさんだ。何うにか辛抱しんぼうの出来んこともあるまい。人間は、肉は喰はなくつても活きてゐられる動物よ。」
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
其麽そんな声で言ふと聞えるよ。何有なあに、道庁の学務課へ出てゐる小役人だがね。昔から壁に耳ありで、其麽どんな処から計画が破れるか知れないからなあ。』
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
常の湯村はたゞ鷹揚おうやうに、「何有なあに、喰べる位の事なら何時まで居ても好い、ユツクリ勤口を探すさ。」
茗荷畠 (新字旧仮名) / 真山青果(著)
『其麽聲で言ふと聞えるよ。何有なあに、道廳の學務課へ出てゐる小役人だがね。昔から壁に耳ありで、其麽處から計畫が破れるかも知れないから喃。』
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
何有なあに」とかぶせて「養生さへすれば可いといふことだが、何分家が此の通ぢやて、思はしく行かんのでナ。」
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
改代町かいたいちやうを廻つちや大変です、何有なあに最少しですよ。」と車夫は動かない。
茗荷畠 (新字旧仮名) / 真山青果(著)
う智恵子が言つた。女児等こどもらは、何有なあに男に敗けはしないと口々に騒いだが、結句けつく智恵子の言葉に従つて鶴飼橋に来た。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何有なあに、僕は些と此様こんなな箇所がしやうかなつてゐるんでね。」
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
何有なあにかまはんさ、お互の事だもの。」
茗荷畠 (新字旧仮名) / 真山青果(著)
奈何して小學教育を破壞するかと訊くと、何有なあにホンの少しの違ひです、人を生れた時の儘で大きくならせる方針を取れや可いんですと答へられました。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
奈何どうして小学教育を破壊するかと訊くと、何有なあにホンの少しの違ひです、人を生れた時のまんまで大きくならせる方針を取れや可いんですと答へられました。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
かくすな! 何有なあに、解つてるよ、確乎ちやんと解つてるよ。高が君等の行動が解らん樣では、これで君、札幌は狹くつても新聞記者の招牌かんばんは出されないからね。』
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
何有なあに、毎年今日はそれ位なもんでごあんす。』と、十年もこの學校にゐる土地者ところものの秋野が喙を容れた。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
かくすな! 何有なあに、解つてるよ、確乎ちやんと解つてるよ。高が君等の行動が解らん様では、これで君、札幌はいくら狭くつても新聞記者の招牌かんばんは出されないからね。』
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何有なあに! 知らん顏をしてゐればそれで濟む。豈夫智惠子が言ひはまい。』と彼は少し落着いて來た。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
何有なあに! 知らん顔をしてゐればそれで済む。豈且まさか智恵子が言ひは為まい。」と彼は少し落着いて来た。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何有なあに明々後日やのあさつてにならば、二十人は屹度來あんすでア、保險附だ。』と、秋野は鉛筆を削つてゐる。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
何有なあに明々後日やのあさつてになれば、二十人は屹度来あんすでア。保険付だ。』と、秋野は鉛筆を削つてゐる。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何有なあに、大丈夫でごあんす。年は老つても、』と又搖り上げて、『さあ、松藏が先に立ちますべ。』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
何有なあに、大丈夫でごあんす。年はつても、』とまた揺り上げて、『さあ、松蔵が先に立ちますべ。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何有なあに、たかが知れた田舍女ぢやないか!』と、信吾は足の緩んだも氣が附かずに、我と我がひるむ心を嘲つた。人妻となつた清子に顏を合せるのは、流石にこゝろよくない。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
何有なあに、毎年今日はそれ位なもんでごあんす。』と、十年もこの学校にゐる土地者ところものの秋野がくちを容れた。『授業の始まる日になれば、また二十人位ア来あんすでア。』
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何有なあに、姉や心配無えでヤ。の村さ行つたて、俺の酒呑んでゐねえ巡査一人だつて無えがら。』
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何有なあにハア、俺みたいな惡黨女にや神樣も佛樣もくたばる時でえば用ア無えどもな。何だべえせえ。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
徒らに目を輝かし、眉をぴり/\さして、そして直ぐに、何有なあに、今言はなくても可いと思つた。
葉書 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『畜生奴! ハハヽヽ、先を越しやがつた。何有なあに、好し、好し、まだ二三軒心当りがある。』
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何有なあに!』とお由は又言つた。そして、先刻さつきから三度目の同じ弁疏いひわけを、同じ様な詰らな相な口調で付加へた、『晩方に庭の台木どぎ打倒ぶんのめつてつたつけア、腰ア痛くてせえ。』
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何有なあに!』とお由は又言つた。そして、先刻から三度目の同じ辯疏いひわけを、同じ樣な詰らな相な口調で附け加へた、『晩方に庭の臺木どぎ打倒ぶんのめつてつたつけア、腰ア痛くてせえ。』
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『年はるまいものさな。………何有なあに………然し五里や十里は………まだまだ………』
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何有なあにハア、おらみたいな悪党女あくたうをなごにや神様も仏様もくたばる時でえば用ア無えどもな。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何有なあにハア、月々三両せえ出せば、くたばるまででも置いてべえどら。』
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何有なあにハア、月々三兩せえ出せば、くたばるまでも置いてべえどら。』
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
何有なあに、惡い處へは行かないから、安心して先に出て呉れ給へ。』
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そして直ぐに、何有なあに、今言はなくても可いと思つた。
葉書 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)