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位地
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いち
ふりがな文庫
“
位地
(
いち
)” の例文
御者台
(
ぎょしゃだい
)
を背中に
背負
(
しょ
)
ってる手代は、
位地
(
いち
)
の関係から少しも風を受けないので、この
云
(
い
)
い
草
(
ぐさ
)
は何となく
小賢
(
こざか
)
しく津田の耳に響いた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
なにしろヒンクマン氏に長生きをされると、わたしの
位地
(
いち
)
ももう支え切れなくなりますから、現在大いに願っているのは、どこへか移転することです。
世界怪談名作集:17 幽霊の移転
(新字新仮名)
/
フランシス・リチャード・ストックトン
(著)
彼から聴いた
顛末
(
てんまつ
)
を通告しようかと思ったが、彼になんらの相談もしないで仲介の
位地
(
いち
)
に立つことは、なんだか彼を裏切るような感じが強かったので、私は最後に決心して
世界怪談名作集:06 信号手
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
しかし彼が現在の
位地
(
いち
)
として、さすがに一人の
侍女
(
こしもと
)
の訴えを楯にして表向きに頼長を取りひしぐわけにもいかないのを知っているので、彼はあふるるばかりの無念をこらえて
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
己が自分の境遇を
呪
(
のろ
)
ったりするのは、
我
(
わ
)
が
儘
(
まゝ
)
過ぎる話なのだ………けれども
或
(
あ
)
る一人の人間の境遇が、幸福になり不幸になるのは、主として
其
(
そ
)
の人の客観的の
位地
(
いち
)
に
依
(
よ
)
って決するのではなく
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
我々の方が強ければあっちこっちの
真似
(
まね
)
をさせて主客の
位地
(
いち
)
を
易
(
か
)
えるのは容易の事である。がそう行かないからこっちで先方の真似をする。
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それでも
堪
(
た
)
えられなかったので、安静に身を
横
(
よこた
)
うべき医師からの注意に
背
(
そむ
)
いて、
仰向
(
あおむけ
)
の
位地
(
いち
)
から右を下に寝返ろうと試みた。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は面倒になって
昨夕
(
ゆうべ
)
はそのままにしておいた金の
工面
(
くめん
)
をどうかしなければならない
位地
(
いち
)
にあった。彼はすぐまた吉川の細君の事を思い出した。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
愛の戦争という眼で眺めた彼らの夫婦生活において、いつでも敗者の
位地
(
いち
)
に立った彼には、彼でまた相当の慢心があった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
母は長い間わが子の
我
(
が
)
を助けて育てるようにした結果として、今では何事によらずその
我
(
が
)
の前に
跪
(
ひざまず
)
く運命を甘んじなければならない
位地
(
いち
)
にあった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そんなところになると、下宿人の私は
主人
(
あるじ
)
のようなもので、
肝心
(
かんじん
)
のお嬢さんがかえって
食客
(
いそうろう
)
の
位地
(
いち
)
にいたと同じ事です。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それも今になって記憶の台に
載
(
の
)
せて
眺
(
なが
)
めると、ほとんど冒険とも探検とも名づけようのない
児戯
(
じぎ
)
であった。彼はそれがために
位地
(
いち
)
にありつく事はできた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
余は遠くからこの三つの建築の
位地
(
いち
)
と関係と
恰好
(
かっこう
)
とを眺めて、その釣合のうまく取れているのに感心した。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
抜ける事のできないような
位地
(
いち
)
と事情の
下
(
もと
)
に
束縛
(
そくばく
)
されていたので、ついそれなりになってしまった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
よしんば自分でいくら身を落すつもりでかかっても、まさか親の
敵討
(
かたきうち
)
じゃなしね、そう真剣に自分の
位地
(
いち
)
を
棄
(
す
)
てて
漂浪
(
ひょうろう
)
するほどの
物数奇
(
ものずき
)
も今の世にはありませんからね。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分は大阪の岡田から受取った手紙の中に、相応な
位地
(
いち
)
があちらにあるから来ないかという勧誘があったので、ことによったら今の事務所を飛び出そうかと考えていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
したがって評家としての余の
位地
(
いち
)
を高めんがためにこの篇を草したのではない。時間の許す限り世の評家と共に過去を研究して、出来得る限りこの
根拠地
(
こんきょち
)
を作りたいと思う。
作物の批評
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれども自分の
位地
(
いち
)
や、
身体
(
からだ
)
や、才能や——すべて
己
(
おの
)
れというもののおり所を忘れがちな人間の
一人
(
いちにん
)
として、私は死なないのが当り前だと思いながら暮らしている場合が多い。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
昨日
(
きのう
)
の朝食事をした時、
飯櫃
(
めしびつ
)
を置いた
位地
(
いち
)
の都合から、私が兄さんの茶碗を受けとって、
一膳目
(
いちぜんめ
)
の御飯をよそってやりますと、兄さんはまたお貞さんの名を私の耳に訴えました。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いくら学校を卒業したって食うに困るようじゃ何の権利かこれあらんやだ。それじゃ
位地
(
いち
)
はどうでもいいから思う存分勝手な
真似
(
まね
)
をして構わないかというと、やっぱり構うからね。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“位地”の意味
《名詞》
位 地(いち)
集団における位置。位。地位。
(出典:Wiktionary)
位
常用漢字
小4
部首:⼈
7画
地
常用漢字
小2
部首:⼟
6画
“位”で始まる語句
位
位牌
位置
位牌堂
位下
位取
位階
位負
位山
位田