人馬じんば)” の例文
それは元久二年六月二十二日の微明びめいであった。畠山六郎の家へ一隊の人馬じんばが押し寄せた。その時六郎の家には主従十五人しかいなかった。
頼朝の最後 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
旅亭やどや禿頭はげあたまをしへられたやうに、人馬じんば徃來ゆきゝしげ街道かいだう西にしへ/\とおよそ四五ちやうある十字街よつかどひだりまがつて、三軒目げんめ立派りつぱ煉瓦造れんぐわづくりの一構ひとかまへ
この冬季とうき寒威かんゐじつはげしく、河水かすゐごときはその表面へうめん氷結へうけつしてあつ尺餘しやくよいたり、人馬じんばともそのうへ自由じいうあゆ
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
明兵みんぺいは、朝月めがけて、やり青竜刀せいりゅうとうをかざしてせまった。人馬じんばちのものすごい光景が、どっと、もえあがる火にうき上がったのを見たのは味方であった。
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
手でつかまり下の方を覗くと町を歩く人馬じんばがすでに蟻程になって見える。僕は眩暈めまいをおぼえた。目を馴らそうとして下の方を暫らく見ていたけれども、そう急に馴れるものでない。
ドナウ源流行 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
絡駅らくえき人馬じんばつづける祭り日の在所ざいしよの見えて白蓮の花
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
(騎手はわらひ)赤銅しやくどう人馬じんばの徽章だ
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
人崩ひとなだれつきて、人馬じんば落ちかさなり
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
徐州じょしゅう徐州じょしゅう人馬じんばすす
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)