中肉ちうにく)” の例文
中肉ちうにく以上に肥つてゐる。けれども体のり合ひは少しもその為に損はれてゐない。殊に腰を振るやうに悠々と足を運ぶ容子ようす鴛鴦をしどりのやうに立派りつぱである。
鷺と鴛鴦 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
はないろうつくしく、中肉ちうにくで、中脊ちうぜいで、なよ/\として、ふつとくと、黒髪くろかみおとがさつとつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
白粉おしろいべつたりとつけてくちびる人喰ひとくいぬごとく、かくてはべにやらしきものなり、おりきばれたるは中肉ちうにく背恰好せいかつかうすらりつとしてあらがみ大嶋田おほしまだしんわらのさわやかさ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
使者ししやの間へしやうじ暫く御待おんまち有べしとひかへさせける間毎々々まごと/\立派りつぱに兩人もひそかにきもつぶし居しがやがて年頃は三十八九にていろしろせいたか中肉ちうにくにて人品じんぴん宜しき男の黒羽二重くろはぶたへ小袖こそであふひ御紋ごもん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
二ツ三ツこえ中脊ちうぜい中肉ちうにくにしていろしろ眼鼻立めはなだちそろひし美人ながら髮の毛の少しうすきは商賣上しやうばいあがりの者とども本甲ほんかふ櫛笄くしかうがひさしぎんかんざしに付たる珊瑚珠等さんごじゆとういづれも金目の物なり衣類は藍微塵あゐみぢん結城ゆふき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)