-
トップ
>
-
且那
>
-
だんな
餘りに
戀しう
懷かしき
折は
自ら
少しは
恥かしき
思ひ、
如何なる
故ともしるに
難けれど、
且那さま
在しまさぬ
時は
心細さ
堪へがたう、
兄とも
親とも
頼母しき
方に
思はれぬ。
「若い
且那、今度はまあ御苦労様でございます」
姉さま
唐茄子、
頬かふり、
吉原かふりをするも
有り、
且那さま
朝よりお
留守にて、お
指圖し
給ふ
奧さまの
風を
見れば、
小褄かた
手に
友仙の
長襦袢下に
長く、
赤き
鼻緒の
麻裏を
召て、あれよ
奧さま
火のもとの
用心をと
言ひ
渡し、
誰れも
彼れも
寐よと
仰しやつて、
同じう
寐間へは
入給へど、
何故となう
安からぬ
思ひのありて、
言はねども
面持の
唯ならぬを、
且那さま
半睡の
目に
御覽じて