丑松うしまつ)” の例文
蓮華寺れんげじでは下宿を兼ねた。瀬川丑松うしまつが急に転宿やどがへを思ひ立つて、借りることにした部屋といふのは、其蔵裏くりつゞきにある二階の角のところ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あの娘は、鳥越とりごえ平助店へいすけだなにいるおあきという者だ、——叔父、叔母といってるのは全く他人で、これは飴屋あめや丑松うしまつとおとくという、仕事の相棒さ。
丑松うしまつに別れる直侍なおざむらいのようなことを言うと、そのままピューッと今松は真一文字に駆け出していった。
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
いと易いこと、お話し致しましょう——私の部下の坑夫の中に丑松うしまつと呼ぶ男がござります。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それと長吉声をかくれば丑松うしまつ文次そのの十余人、方角をかへてばらばらと逃足はやく、抜け裏の露路にかがむも有るべし、口惜しいくやしい口惜しい口惜しい、長吉め文次め丑松め
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
すぐつづいて、繩上なわあげ丑松うしまつ
顎十郎捕物帳:13 遠島船 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
番台へ登ろうとしていた丁子風呂のおかみさんと、かま前に居た三助ばんとう丑松うしまつは、両方から飛んで来てお六を抱き起しました。
それと長吉ちようきちこゑをかくれば丑松うしまつ文次ぶんじそのの十餘人よにん方角はうがくをかへてばら/\と逃足にげあしはやく、うら露路ろぢにかゞむもるべし、口惜くやしいくやしい口惜くやしい口惜くやしい、長吉ちようきち文次ぶんじ丑松うしまつ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「別荘番の丑松うしまつってんだ」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
少年は丑松うしまつと言ひました。丑のやうに鈍重で、丑のやうに無口で、そして丑のやうに汚れた風をしてをります。
まつりの田町たまちあねのもとへ使つかひを吩附いひつけられて、ふくるまで我家わがやかへらざりければ、ふでやのさわぎはゆめにもらず、明日あすりて丑松うしまつ文次ぶんじそのほかくちよりこれ/\でつたとつたへらるゝに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「あああれは丑松うしまつさんだ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「だって松さんのせがれの——丑松うしまつとか言ったね。——あの子が迎えに来たんだよ」
傴僂せむし丑松うしまつ
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)