“蔵裏”の読み方と例文
旧字:藏裏
読み方割合
くり100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
奥様はもう涙ぐんで、蔵裏くりの内をぐる/\廻つて歩いた。長い年月の精舎しやうじやの生活は、この女の性質を感じ易く気短くさせたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
蓮華寺れんげじでは下宿を兼ねた。瀬川丑松うしまつが急に転宿やどがへを思ひ立つて、借りることにした部屋といふのは、其蔵裏くりつゞきにある二階の角のところ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
旅の仕度が出来た後、丑松はこの二階を下りて、蔵裏くりの広間のところでみんなと一緒に茶を飲んだ。新しい木製の珠数じゆず、それが奥様からの餞別であつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)