一寸々々ちよい/\)” の例文
清正公樣せいしやうこうさままへ煎豆屋いりまめやかど唐物屋たうぶつやところ水天宮樣すゐてんぐうさま裏通うらどほり、とそツち此方こつちで、一寸々々ちよい/\えなくつたらしいんですが、……
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
斯して置は殺生なりさりとて生返いきかへらせなば又々旅人へ惡さをなす者共なればとゞめをさして呉んと鐵の棒のさきのどあたりへ押當おしあて一寸々々ちよい/\よしで物を突く如く手輕てがるに止めを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
秋聲小劍二氏は今まで一寸々々ちよい/\來た處ですが、私には初めての土地なのです、四邊はもうすつかり蘆荻の葉も褐色にうら枯れ、平濶な水田に小波が立つてゐるのも寒さうで
初雪 (旧字旧仮名) / 近松秋江(著)
『然う然う、其麽そんな癖がありましたね。一體一寸々々ちよい/\奇拔な事をやり出す人なんで、書く物も然うでしたよ。恁麽こんな下らん事をと思つてると、時々素的な奴を書出すんですから。』
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「よう。」とつて、茫然ばうぜんとしてつた。が、ちよこ/\と衣紋繕えもんづくろひをして、くるまけはじめる。とたぼ心着こゝろづいたか一寸々々ちよい/\此方こなた振返ふりかへる。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
特に其の後半部は、日常生活の中から自ら歌になつてゐる部分だけを一寸々々ちよい/\摘み出して、其れを寧ろ不眞面目ぢやないかと思はれる程の正直を以て其儘歌つたといふ風の歌が大部分を占めてゐる。
NAKIWARAI を読む (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
かばん脊負しよつてたのは木樵きこり権七ごんしちで、をとこは、おうら見失みうしなつた当時たうじ、うか/\城趾しろあと徉徜さまよつたのを宿やどつれられてから、一寸々々ちよい/\ては記憶きおくうちかげあらはす。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さういふ手腕は幸ひにして此の作者にはない。たゞ誰でも一寸々々ちよい/\經驗するやうな感じを誰でも歌ひ得るやうな平易な歌ひ方で歌つてあるだけである。其所に此の作者の勇氣と眞實があると私は思ふ。
NAKIWARAI を読む (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
て、みせをする、料理人れうりにんはひつて、おきやく一寸々々ちよい/\あることになる。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)