一分いつぷん)” の例文
一時ひとしきり騒々さう/″\しかつたのが、寂寞ひつそりばつたりして平時いつもより余計よけいさびしくける……さあ、一分いつぷん一秒いちびやうえ、ほねきざまれるおもひ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一分いつぷん二分にふんあひだいてはきこえるあられのやうなおと次第しだいはげしくなつて、いけ落込おちこ小※こしぶき形勢けはひまじつて、一時いちじ呼吸いきもつかれず、ものもはれなかつた。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
……憂慮きづかひさに、——懷中ふところで、確乎しつかりけてただけに、御覽ごらんなさい。なにかにまぎれて、ふとこゝろをとられた一寸ちよいと一分いつぷんに、うつかり遺失おとしたぢやありませんか。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まゝよ、一分いつぷんでも乘後のりおくれたら停車場ステエシヨンから引返ひきかへさう、それがい、と目指めざ大阪おほさかかたきつて、うもうはじめから豫定よてい退却たいきやく畫策くわくさくするとふのは、あんずるに懷中くわいちうのためではない。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)