-
トップ
>
-
にゆうわ
見れば
扨も
美男子色こそは
黒みたれ
眉目やさしく
口元柔和に
歳は
漸く
二十か
一か
繼々の
筒袖着物糸織ぞろへに
改めて
帶に
卷く
金鎖りきらびやかの
姿させて
見たし
流行の
花形俳優何として
及びもないこと
大家の
若旦那それ
至當の
役なるべし
さりとては
是れ
程の
人品備へながら
身に
覺えた
藝は
無きか
取上げて
用ひる
人は
無きか
憐れのことやとは
目の
前の
感じなり
心情さら/\
知れたものならず
美くしき
花に
刺もあり
柔和の
面に
案外の
所爲なきにもあらじ
恐ろしと
思へばそんなもの