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せいらう
進み
進んで
遂に
印度洋の
海口ともいふ
可きアデン
灣に
達し、
遙かにソコトラ
島を
煙波縹茫たる
沖に
望むまで、
大約二
週間の
航路は
毎日毎日天氣晴朗で、
海波平穩で
然るに
図らざりき、藤原村に
進むに
従つて雨漸次に霽れ
来り、全く
晴朗となる、
蓋し天我一行を
歓迎するの意乎、探検一行無事の
吉兆既に此の発程に
臨みて
現はれたり、衆皆
踊躍して藤原村を
過ぎ
抑此日や秋季皇霊祭にして
満天晴朗、世人は
定めて大白を
挙げて征
清軍の
大勝利を
祝するならん、余等一行も亦此日
水源を
確定するを得、帝国万歳の
声は深山に
響き
渡れり、水源の出処
既に
明なれば
まづ
此所の
閑靜な
事、
海に
近い
所爲か、
東京よりは
餘程暖かい
事、
空氣の
清朗な
事、
紹介された
坊さんの
親切な
事、
食事の
不味い
事、
夜具蒲團の
綺麗に
行かない
事、などを
書き
連ねてゐるうちに