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しやくざい
叔母の
云ふ
所によると、
宗助の
邸宅を
賣拂つた
時、
叔父の
手に
這入つた
金は、
慥には
覺えてゐないが、
何でも、
宗助のために、
急場の
間に
合せた
借財を
返した
上
勘次は
今開墾の
仕事の
爲に
春までには
主人の
手から三四十
圓の
金を
與へられる
樣にまで
成つた。
大部分は
借財の
舊い
穴へ
埋めても
彼は
懷に
窮屈を
感じない
程度に
進んだ。
彼はまだお
品が
死んだ
年の
小作米の
滯りも
拂つてはないし、
加之卯平から
譲られた
借財の
残りもちつとも
極りがついて
無いのに
又今度の
間違から
僅ながら
新な
負擔が
加はつたのである。