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鰥
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やもめ
ふりがな文庫
“
鰥
(
やもめ
)” の例文
そういう
袖子
(
そでこ
)
の
父
(
とう
)
さんは
鰥
(
やもめ
)
で、
中年
(
ちゅうねん
)
で
連
(
つ
)
れ
合
(
あ
)
いに
死
(
し
)
に
別
(
わか
)
れた
人
(
ひと
)
にあるように、
男
(
おとこ
)
の
手
(
て
)
一つでどうにかこうにか
袖子
(
そでこ
)
たちを
大
(
おお
)
きくしてきた。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しがない
鰥
(
やもめ
)
の船頭には、一国の宰相の死よりは、夕方の酒の
桝目
(
ますめ
)
と、
晨
(
あした
)
の米の値のほうが、遥かに実際には強くひびく。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
娶
(
めと
)
らず丁稚時代より八十三歳の老後まで春琴以外に一人の異性をも知らずに終り他の婦人に比べてどうのこうのと云う資格はないけれども晩年
鰥
(
やもめ
)
暮らしを
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その奥方が病身なために能登守は、女房がありながら
鰥
(
やもめ
)
のような暮らしに甘んじていることは、家名を大事がる近臣の者を心配がらせずにはおきません。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「こんなにまでしていただきながら、十一娘を得ることができなかったなら、私は一生
鰥
(
やもめ
)
で終ります。」
封三娘
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
▼ もっと見る
彼は
鰥
(
やもめ
)
で暮していた。姉のお千代に塾をひかしてから主婦の役をさせ、妹のお絹は
寵愛物
(
ちょうあいぶつ
)
にしていた。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「訪ねて見ると、五十がらみの野暮な親爺で、伜を奉公に出して居るとかで、弟子が三人と
鰥
(
やもめ
)
暮し」
銭形平次捕物控:275 五月人形
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
曇ってはいるが降りそうでない空、不機嫌な
鰥
(
やもめ
)
ぐらしの男が物思いに沈んでいるような陰欝な空が低く垂れている……わたしは煙草に火をつけてあたりを眺めまわした。
お繁
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それはトリーフォノフという町の商人で、金縁眼鏡をかけた、
髭
(
ひげ
)
むじゃの、年をとった
鰥
(
やもめ
)
なのだ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
妻は昔にこの世を去り、
爾来
(
じらい
)
妾
(
しょう
)
さえ蓄えず
鰥
(
やもめ
)
暮らしの気楽さは邸内に女の数も少ない。足手纏いのないということは、今度のような事件の場合に彼の行動を自由にさせた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
嘉助は元来が沖仲仕で頑丈な身体をして居るのであるが、寄る年波に五十の坂を越して、肺炎をやられて倒れると、
鰥
(
やもめ
)
の彼には誰れも顧みてくれるものとても無かつたのである。
死線を越えて:02 太陽を射るもの
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
村長は
鰥
(
やもめ
)
だが、家には亡妻の妹が同居してゐて、朝夕の煮焚きをしたり、腰掛を洗つたり、家を白く塗つたり、彼の肌着にする糸を紡いだりして、家事のすべてを取りしまつてゐる。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:05 五月の夜(または水死女)
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
贅沢
(
ぜいたく
)
はして見せる、其れに貴郎、
鰥
(
やもめ
)
と云ふ所を見込んでネ、丁度
俳優
(
やくしや
)
とドウとかで、離縁されてた大洞の妹を山木さんにくつ付けたんですよ、ほんたうにまア、ヒドいぢやありませんか、其れが
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
三枝は下情に通じているのが自慢の男で、これから吉原の面白い処を見せてくれようと云い出す。これは僕が
鰥
(
やもめ
)
だというので、余りお察しの好過ぎたのかも知れない。古賀が笑って行こうと云う。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
養ふ事
夫
(
をつと
)
の世に在し時よりも
厚
(
あつ
)
かりしかば姑女の思ひけるは
嫁
(
よめ
)
は
未
(
いまだ
)
年若くして
鰥
(
やもめ
)
となり一人の子供もなきに
久敷
(
ひさしく
)
我に事へて孝行成は嬉けれども
斯
(
かく
)
て年寄ば頼む方もなくならんこそ
最惜
(
いとをし
)
けれ孝行なる嫁の
志操
(
こゝろざし
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
四十になるのに
鰥
(
やもめ
)
であるくらいだから凡庸で少し足りないほどの男だった。屋敷の焼け残りの部分を母家に直し、整理して残った田畑に小作を入れゝば留守の暮しは立った。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
秦の
姑
(
おば
)
さんが没くなった後で、
姑丈
(
おじ
)
さんが
鰥
(
やもめ
)
でいると、狐がついて、
瘠
(
や
)
せて死んだが、その狐が女の子を生んで、嬰寧という名をつけ、むつきに包んで
牀
(
とこ
)
の上に寝かしてあるのを
嬰寧
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
その
男
(
ひと
)
はすっかりこのかたのことを忘れて、結婚してしまいましたの、今では
鰥
(
やもめ
)
になって、今度、こちらへ来るという手紙をよこしたのですって、——ところがね、どうでしょう
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
しかしながら、
他人
(
ひと
)
ごとにおせつかひ好きな人はたちどころに、ソローハが誰よりも哥薩克のチューブに対して一段とちやほやしてゐることに気がつくだらう。チューブは
鰥
(
やもめ
)
だつた。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:02 降誕祭の前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「この人はこれで
鰥
(
やもめ
)
暮しが好きなんだというから変ってるだろう」
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
鰥
漢検1級
部首:⿂
21画
“鰥”を含む語句
鰥夫
鰥暮
鰥寡
男鰥
鰥寡孤独
鰥居
男鰥夫
鰥夫暮
鰥居無聊
鰥男