頼政よりまさ)” の例文
天子てんしさまはたいそう頼政よりまさ手柄てがらをおほめになって、獅子王ししおうというりっぱなつるぎに、おうわぎ一重ひとかさえて、頼政よりまさにおやりになりました。
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
平等院びょうどういんだったね? 扇の芝は? 『椎を拾いて世を送るかな』なんて生きている中から位一級を進めて貰いたがるところは頼政よりまさ俗物ぞくぶつだね」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
わたしが脚本というものに筆を染めた処女作は「紫宸殿ししんでん」という一幕物で、頼政よりまさぬえ退治を主題にした史劇であった。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
これが、頼政よりまさとか、光基みつもととかいう、源氏の一家にやられたということになれば、我々一族の面目にもかかわりますが、とにかく、相手は、何と言っても殿下です。
おきなのとなりに猩々しょうじょうがあり、猩々のうしろには頼政よりまさが出没しているという有様で、場面の事件と人物には、更に統一というものはないが、拍子ひょうしだけはピッタリ合って
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
せめて御賓頭顱おびんずるでもでて行こうかと思ったが、どこにあるか忘れてしまったので、本堂へあがって、魚河岸うおがし大提灯おおぢょうちん頼政よりまさぬえ退治たいじている額だけ見てすぐ雷門かみなりもんを出た。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「魚がし」と書いてあったようでした。はりに掛けてある額には、頼政よりまさ鵺退治ぬえたいじだとか、一つ家の鬼女だとかがあります。立派な馬の額にも、定めし由緒があるのでしょう。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
平清盛たいらのきよもりの専横に抗して、頼政よりまさをはじめ、伊豆の頼朝よりとも、木曾の義仲よしなか等源氏の一党が、以仁王もちひとおう令旨りょうじを奉じて一斉いっせいに挙兵した年である。この前後は東大寺の性質もむろん変っていた。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
天子てんしさまはそのうたをおよみになって、かわいそうにおおもいになり、頼政よりまさ四位しいくらいにして、御殿ごてんのぼることをおゆるしになりました。
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
伊豆の狩野かのの介宗茂の許に預けられたままになっていたが、南都の大衆が、しきりに、その処分を迫ってきているので、頼朝としてもそのままにしておくこともできず、源三位入道頼政よりまさの孫
頼政よりまさくろくもてきたようだとはおもいましたが、一めんにまっくらなそらの中で、なになんだかさっぱりわかりません。
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)