れい)” の例文
たとい一害あるとともに一利ありとするも、差し引き上れいになるわけなれば、むしろ、かかる判断はなき方がよいということになる。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
こっちのれいに合わしてと……これでいい、そこで、二つの数字が合ったところで、爆弾を支えている腕金をはずせばいいんだ。
地底戦車の怪人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
両方とも世間から見れば、生きているか死んでいるか分らないほど大人おとなしい男であった。ひとに認められるという点からいえばどっちもれいであった。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「そうだ。そこで考えて見ろ。この一八九れいとある零の代りに一が書いてある日が来るのだなあ。その時はおれはもういないのだ。どうだ分かるかい。」
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
寒暖計の水銀はれい点下三十度にくだる日が少なくなかった。少年らは終日しゅうじつ室内から一歩も出ることはできない。かれらは喜んで富士男の指揮しきにしたがった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
そして今一たび其まきを繙閲する。巻は百れいけつの半紙本で、頁数けつすうは森枳園きゑんの朱書する所である。首に「葌斎詩集、伊沢信恬」と題してある。印が二つある。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
論理の焦点の見損ないから生ずる極めて微細な……実は『無限大』と『れい』ほどの相違を持つ眩惑的な錯覚を生じて、どうしても眼の前の人間が罪人と思えなくなる。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
でも、せきばんの上にかいているものは、いつものれいや線ではありません。みんながしてきた、りっぱな行いや、みんながみたりおぼえたりしたいろいろのことでした。
わが必然のいちといふ係數のあとに幾多のれいがつづく如き無數無限の星影を映さむのみ。
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
かたのごとく、山では山じゅうの凱旋がいせん祭りと、忠義堂では、主なる頭分かしらぶんだけの祝宴がもよおされ、乾杯にいたって、宋江が、そのあたまかずを数えてみると、まさに百れい八人となっていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
れいになっちゃうんです。だから、いくらたずねてもきっと言いませんよ
智恵の一太郎 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「四からげいく、れいのこる。斯ういう算術を御存じですか?」
心のアンテナ (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
横沢さんは満点をつけても、僕は、君にはれい点をつけます。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
れいれいとを重ねたる今日けふの日のむなしさよ。)
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
C れい五二、四三(射手の報告)
「それじゃあ、同じ力でひっぱりっこだから、結局力が働いていないのと同じですね。二つの力を加えると、れいですものね」
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
一千万を三乗した数とは一の下にれいを二十一付けた莫大ばくだいなものである。想像をほしいままにする権利を有する吾々われわれもこの一の下に二十一の零を付けた数を思い浮べるのは容易でない。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ヘクザ館から発見された宝石や古代金貨のうわさは、たちまち全世界に喧伝けんでんされた。それはいまの金に換算かんさんすると、れいという字を、いくつつけてよいかわからぬほど、莫大ばくだいなものになろうという。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
推して行けばいつか一度はれいにならなければならない。自分はこの経過に連れて淡くなりつつ変化するうれしさを自覚していた。この経過に連れて淡く変化する自覚の度において自覚していた。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「うん。先生は勝手な事をいふ人だから、時と場合によると何でも云ふ。第一先生が女を評するのが滑稽だ。先生の女に於る知識は恐らくれいだらう。ラツヴをした事がないものに女がわかるものか」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「ぜったいに、正確だ。九時れい分だ」
火星探険 (新字新仮名) / 海野十三(著)
深度計は、れいをさしていたのである。
地底戦車の怪人 (新字新仮名) / 海野十三(著)