附合つきあひ)” の例文
あかりのついた、お附合つきあひとなりまどから、いはさんの安否あんぴかうとしでもしたのであらう。格子かうしをあけたをんながあつたが、なんにも女房にようばうにはきこえない。……
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かねが涙ながら來し頃は早暮て、七間間口に並びしてふちんもん並の附合つきあひも廣く、此處一町はやみの夜ならず金屏きんびやうの松盛ふる色を示前に支配人のたちつ居つ
うづみ火 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
平岡の帰りを玄関迄見送つた時、代助はしばらく、障子にを寄せて、敷居しきゐうへに立つてゐた。門野かどのも御附合つきあひに平岡の後姿うしろすがたながめてゐた。が、すぐくちした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ぼくとは、学校の関係で……Fさんも、ずッと、慶応義塾だつた……医者対患者の附合つきあひ以上の附合をもつた。……つまり、幾分、飲み仲間でゞもあつたわけである。
十年…… (新字旧仮名) / 久保田万太郎(著)
不思議だ! どうか、まあかはらず一生かうしてお附合つきあひを為たいと思ふ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
歸さず是非お附合つきあひなされよと無理に引留ひきとめまだ日も高ければ夕刻ゆふこく迄には寛々ゆる/\としても歸らるゝなり決して御迷惑ごめいわくは掛ませぬといやがる千太郎のひきそでひき萬八の棧橋さんばし繋合もあひたる家根船へ漸々やう/\にして乘込のりこませり是ぞ千太郎と久八が大難だいなんもとゐとこそは成りにけれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なにもいざこざはない、はなしかへつててゆつくりするが、これからぐに筑波山つくばさん參詣さんけいだ。友達ともだち附合つきあひでな、退引のつぴきならないで出掛でかけるんだが、おあきさん、おまへ呼出よびだしたのはほかことぢやない、路用ろようところだ。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)